久元 祐子 「味」 探訪

篠山・生野

  
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名産品

 潯陽楼( 割烹旅館)


2002年の暮れ、クリスマスコンサート、大掃除、忘年会など、1年のスケジュールがすべて終わったあと、ほっと安心したのか、5年ぶりに風邪をひいてしまいました。
ぼたん鍋で元気をつけて風邪を吹き飛ばそう!とばかり、篠山にでかけ、訪れたのが潯陽楼です。1908年の創業という老舗です。
城下町、篠山の中心、二階町のバス停を降りると、ここにもあそこにも猪肉屋さんの数々。通りには、猪の剥製、ぼたん鍋の食堂など、ぼたん。ぼたん。ぼたん。

猪は、臭みがあって固いものと思っていたのですが、実際は全然違いました。
生の肉は、いくら煮込んでも固くならず、深い味となっていきます。滋養がつき、体があたたまり、昔から土地の人が愛してきた理由が良くわかります。
冷凍していない生の肉は、冬場だけの貴重品です。
鮮やかな赤い肉と、豆腐、山盛りの野菜(その中でも地元でとれる山芋がキーポイントでした)などが、特製味噌の中で ぐつぐつ、ぐつぐつ、おいしい音をたててきます。最初は「え?!」と驚くほど濃くて辛そうに見えおそるおそる口にしましたが、全然辛くなく、いくらでも食べられる絶妙の味加減です。
この味噌の秘伝が各々の店によって、それぞれの味を出しているそうで、「うちのお母さんが何年もかけて編み出した味です!」と誇らしげに若女将がよそってくださいました。卵をつけて食べる人もいるそうですが、私はこのまま味噌でいただくのが好きです。「もう入らない」というくらい満腹になっても、最後にうどんが運ばれてくるとまた”別腹”で入ってしまいました。

今年は猪突猛進!

(2003.1.4記)

潯陽楼  
〒669−2331  篠山市二階町79   
079−552−0021


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