久元 祐子 「味」 探訪

海外の名産品

  
「味」探訪(東京)
「味」探訪(神戸)
「味」探訪(その他)
「味」探訪(海外)
名産品

 Wedel(ワルシャワ・チョコレート)


今年の10月末から11月にかけてポーランドを旅してきました。
晩秋のワルシャワは、日に輝く黄金色の木々が、それはそれは見事でした。ショパンが少年時代に見た秋の風情もこんなだったのでしょうか。そして、晩年のショパンがパリで夢見た故郷ワルシャワの風景も。。。。とショパンに思いを馳せながら、公園を散歩しました。
ポーランドの人にとって、甘いもの、というのは、高級なイメージがあるそうで、いいレストランでのお肉料理にも、値のはるものには、必ずと言っていいほど、甘いソースがかかっていました。。
旅の友、プロデューサーAさんは、鋭い感性と直感の持ち主で、未知の場所に言っても、美味しいお店や評判の老舗、お土産を見つけてしまいます。おまけに、方向音痴の私と違って、初めての土地でも自分を空から見下ろして、東西南北を瞬時に判断できるという抜群の方向感覚の持ち主。ガイドブックと地図を一瞥して、目指すは、ヴェデル。
私は、ただついて行っただけなのですが、ポーランドで最も古い伝統チョコレートショップ訪問は、楽しいひとときでした。試食自由のコーナーには、お勧めの美味しいチョコが並びます。一口サイズのボンボンのようなチョコレートは、さまざまな種類があり、味わいもいろいろ。迷いに迷って、シンプルなものを買いました。
ヴェデルは、創業約150年の老舗です。ポーランドが誇るチョコレートヴェデルの本店は、今回行ったポーランドのさまざまなお店の中で、愛想の良さもNO1でした。時間がなかったので、喫茶室の方には、寄れなかったのですが、なんと言っても名物はホットチョコだそうです。次回はきっと!と思いつつ、後ろ髪を引かれながら、左の缶入りを買って、お店をあとにしました。
店内は、とっても洒落ていて,天井も高く、薫り高いチョコレートを眺めながら、気分もうきうきしてくるお店です。音楽家には、甘いもの好きな人がたくさん。モーツァルトもしかり。ショパンもホットチョコレートが好きだったという説も?!。存じ上げている有名ピアニストの中にも、ケーキには目がなくて、一度に10個食べたという強者やファンからチョコレートをいただくと、つい1箱食べてしまう、という方もいらっしゃいます。いっとき、ダイエットにカカオ75パーセント以上のチョコレートを食べるといい、という話がありました。試しに、カカオ率のめちゃくちゃ高いチョコを食べてみましたが、「うわぁ。。。なにこれ?!?!」というまずさ。ダイエットのためにこんなまずいものを食べるくらいなら、美味しくて甘いチョコレートを1個だけいただく方が絶対いい!と思った次第です。
ワルシャワの秋を思い出しながら、帰国後、1個ずついただいているヴェデルのチョコでしたが、とうとう上段がフィニッシュ。宝石が一個また一個と口の中に溶けていってしまっている今日この頃です。
(2005.12.24記)



Balsam(ラトヴィア)


昨年秋、ラトビア・リガでのリサイタルのあと、通訳の美女、イルゼさんが、私の耳元でささやきました。
「祐子さん。。。こんな素敵な晩にぴったりのお酒があります!!とっておきの店に行きましょう。」。。。。
その日、心ときめかせて初めて味わったのが、バルサムでした。
最初は、ん?養命酒?と思った色と味だったのですが、だんだんと癖になってくる不思議なお酒です。
「このお酒を飲むと力が出ます。演奏のあとには、ぴったりよ。」という甘ーい誘惑についついグラスを重ねました。
たしかに疲れがとれて、おまけに風邪気味だったのに、その風邪もどこかへ飛んでしまって翌日は絶好調。最終日、空港のおみやげコーナーでは、一目散にバルサムコーナーに走ったというわけです。
「ラトビアが生んだ自然のリキュール」という謳い文句のこのバルサム。さまざまな薬草も入り、なかなか由緒のあるお酒のようです。
「RIGA BLACK BALSAM」と書かれた茶色い不透明の瓶からグラスに注ぐと魔法使いのおばあさんがつくったような神秘的な香りが漂います。このお酒、結構強いはずなのに、なぜか二日酔いをしません。やはり魔法のせいなのでしょうか?!?!
友達に「バルサム飲みに来ない?」と電話すると、「殺虫剤飲んでどないするん?暑さのせいでおかしくなったん?」
ガチャっと受話器を置かれてしまいましたが、いろいろなお酒を飲み尽くしたあなた!ぜひお試しくださいませ。
去年秋、購入した分は、もうとっくの昔になくなってしまいましたが、来月のリガのコンサートのあとは、ちょっとばかり多めに買ってこようかと思っています。
でも持ち運びには、要注意のお酒です。昨年同行のメンバーのひとり、ダンディなTさん、なんと空港で瓶にヒビが入ってしまったのです。洋服とベンチの周りは、見る見るうちに赤土色に染まっていきます。
「え???どうしたの???血の海!!!」殺気だった警察官がまず飛んできました。匂いをかいで、にやっと笑って「あーはーん。バルサム?オーケー」と嫌疑が晴れたあと、モップとバケツの大部隊の出動と相成りました。

(2001.8.19 記)


top へ