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- 戴 冠 式
- 1790年秋、レオポルド2世の戴冠式がフランクフルトで行われることになりました。中世以来、神聖ローマ皇帝の戴冠式はフランクフルトの大聖堂で行われるのがならわしでした。(左の絵は、18世紀のフランクフルトです。)
戴冠式にはミサ、オペラ、コンサートなどの音楽行事がつきもので、音楽家が集まられるのが恒例でしたが、モーツァルトのはお呼びがかかりませんでした。
しかしモーツァルトは、多くの貴顕の人々が集まるこの機会を捉えようと考えたのか、義兄のホーファー(妻コンスタンツェの姉ヨゼーファの夫)とともに、9月23日、ウィーンを出発しました。
- カイザードーム
- フランクフルトの大聖堂は、 正式には「聖バルトロモイス教会」(St.Bartholomaus)ですが、歴代の神聖ローマ皇帝がここで選出されたことから、カイザードーム(Kaiserdom)」と呼ばれます。
1356年の金印勅書では、アーヘンで戴冠式を行って神聖ローマ皇帝となることとなりましたが、1562年からは、フランクフルトで戴冠式が挙行されるようになりました。
レオポルト2世の戴冠式は、10月9日に執り行われました。皇帝一行には、宮廷楽長アントニオ・サリエリが随行し、ウィーンの宮廷楽団の楽団員もこれに随いました。
一方、モーツァルトのコンサートは、10月15日に市立劇場で行われました。
プログラムは、交響曲、コンサート用のアリア、幻想曲のほか、シュタインのピアノフォルテを弾いて、ピアノ・コンチェルトKV537《戴冠式》を弾きました。このニ長調のコンチェルトは、1788年2月24日に
ウィーンで作曲されていましたが、このときに演奏されたことから、《戴冠式》の名称がつけられています。
コンスタンツェに書き送った手紙によれば、
「名誉に関しては素晴らしかったけれど、報酬の点ではお粗末なものに終わった」
と言います。
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