神戸市室内管弦楽団第173回定期演奏会

梅雨に入り、変わりやすいお天気の今日この頃。念のために持って出た傘がカンカン照りの帰り道、無用の長物になったり、突然の雨にずぶぬれになったり・・・。皆様、体調管理にお気をつけくださいませ。

20日は神戸文化ホール 大ホールで行われた神戸市室内管弦楽団定期演奏会へ。
プログラムは、大澤壽人「小ミサ曲」で始まりました。大澤氏は神戸出身の作曲家。パリのエコール・ノルマルに留学中の作品。ポール・デュカスのクラスで学んでいた氏にとり、デュカスが逝去された哀しみから、曲は未完で終わりました。残された「キリエ(日本初演)」と「グローリア(世界初演)」を鑑賞。初演という形で実を結んだのは、神戸女学院所蔵の自筆譜複写、パート譜作成など大澤作品発掘、保存、研究、演奏に取り組んでこられた生島美紀子先生はじめ音楽学の先生方のご尽力の賜物と敬意を申し上げる次第です。少年時代から教会に通い敬虔な祈りの時を過ごした大澤氏が、西洋音楽の大きな変遷の渦の中に身を置いた時期の作品として、大変興味深いものでした。柔らかなフランス和声と、鋭い切り口の斬新な重音が混在しながら、神への祈りを謳いあげる音楽が会場を包みました。

ラヴェル作品に続き、ファリャ:「スペインの庭の夜」では、御年93歳のピアニスト、ホアキン・アチュカロ氏登場。最初の音の美しさに引き込まれました。アンコールはドビュッシー「月の光」とスクリャービンの「左手のための前奏曲」。左手でステッキを持って登場されたり、もしかしたらバレンボイム氏同様、左利きの方かしら?!などと思った次第。素晴らしい音楽人生を歩むアチュカロ氏に大きな拍手が送られました。

後半はビゼー(シチェドリン編)の「カルメン組曲」。スペイン出身の指揮者、ロベルト・フォレス・ベセス氏の的確で鋭い切れ味の指揮とスペインの情熱が相まって、「カルメン」の魅力全開の演奏となりました。
何度もオペラで見てきている「カルメン」ですが、バレー版のためにロシアのシチェドリンが編曲した今回のバージョンは、打楽器、管楽器が大活躍し、よりリズムが強調され、歌の伴奏としての器楽ではなく、音楽が主役の表現に特化されています。心の中でオペラの舞台と歌手を想像しながら聞くことでイマジネーションがさらに掻き立てられ、2倍楽しめた名演でした。それにしてもビゼーの旋律って、なんとすごいのでしょう。心を捉えて離さない、何度聞いても涙が出てしまう魅力!

曲の冒頭でバチン!とコンサートマスター高木和弘さんのヴァイオリンの弦が切れる音でハッとしましたが、お隣の森岡聡さんの楽器と素早く交換。森岡さんが舞台袖で修理後、戻って着席し再交換。ドラマティックなカルメンならでは?!のハプニングでしたが、演奏を止めずにスマートに対処する危機管理力、流石でした。意欲的なプログラムに臨み、ダイナミック、そしてかつ透明感のある音色で魅了してくださった弦の皆さんにも拍手です。

帰りは大雨で濡れ鼠状態。手に持っていたスペイン風の赤いプログラムもしなしなになってしまいましたが、余韻を楽しみながら帰途につきました。

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