レコーディング初日。


向かいにあるシューベルトがかつて合唱を歌っていた学校を見つつ、いざコンツェルトハウスへ。


美しい玄関ホールを入り階段で地下へ。

かつてカラヤンがウィーン・フィルとの録音のために作ったというスタジオは、雑音が入らない地下にあります。
サウンドエンジニアのマルコさんがすでにすべての準備を完了してくださっており、サウンドチェックスタート。楽器はベーゼンドルファー280。

「僕には哲学がある。」とマルコさん最初の一言。「あとで音を加工するのではなく、最初に作ってあとでは加工しない主義。」
「ミキシングルームのガラスを通してコミュニケーションをとるのはあまり好きじゃないんだ。直接演奏している空間でアーティストの疲れ具合や気持ちを、実際直接見ながら進めていきたい」と、弾いている傍で録音。
緊張も感動も共にしながらの作業です。


マルコのために特注されたというAKGのマイクを用い、あくまで自然な音を追求するマルコ流。
ウィーン・フィルだけでなく多くの一流アーティストの音を残してきた人と聞き、気難しい人と思っていたのですが、想像とは180度違って気さく。
オペラ歌手を目指したこともある、というマルコさんのバス・バリトンの声は、心地良く、初対面の人間の心を開き、以前からの友人だったように感じさせてしまう魔法の持ち主でした。

左手が上がったら、いつでも好きな時に始めればいいよ。という合図。
ドイツ語、英語、イタリア語、時に冗談を言うときはフランス語と日本語が飛び交う楽しい現場でした。
現場に見学に来た私の同僚が休憩時間にスマホで撮影しても、全く怒る気配無し。「写真を撮ったりしてもいいの?!日本では、録音現場を撮るのは企業秘密を公開するようなものだ、と叱られたこともあるの。」という私に対して
「全然かまわないよ。YUKOの写真を撮ったところで美しい音をマネできないだろう?録音現場のマイクや機械の写真を撮ったって、俺の音はマネできない。同じことさ。」と自信に満ちた笑顔で笑いとばしていました。
ヴァックスムートの自筆譜の写しを使っての録音。ここはタイかレガートか?オーケストラ譜をピアノで弾くときのアレンジ方法など、意見交換をしながら進める録音。

23曲のうち、初日の今日、8曲の収録を終えました。


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