リヒャルト・シュトラウスの歌曲「万霊節」は、私の好きな曲の一つです。静かに心に染みる旋律、温かく包み込むような和声、今は亡き恋人を想う愛に満ちた歌です。
カトリックで、死者の魂のために祈りを捧げる日(万霊節)は11月2日とされており、この日は、必ず、歌い手さんがそばにいなかったとしても一人で静かにこの曲を弾くことにしています。
母は、高校、大学を清泉女学院で学びました。私は小・中学校はカリタス学園出身です。どちらもカトリックの学校なので、毎朝祈りを捧げるミサがあり、賛美歌を歌い、神父様やシスターの教えを受けて育ちました。
昨年10月に旅立った母の遺品整理をしていますと、たくさんの女学院時代の笑顔の写真が出てきます。老いた母にも若い時があった・・・と思う瞬間です。
満州で終戦を迎え、命がけで引き上げてきた家族の結束はかたく、晩年の母を支えてくれたのは、母の弟、妹でした。叔父と叔母には本当に感謝しています。
一方父は、山形県鶴岡市の出身。父の菩提寺も鶴岡にあり、お葬式の時もお坊さんにお経をあげていただきました。
父母は、異なる宗教の夫婦ですが、天国で仲良く暮らしてくれているだろう、と楽観的な娘は想像しているところです。
なんと言っても、最愛の夫と息子のそばにいることが母にとって最高の幸せですから。
この夏、お盆休みを少しとることができた主人が突然「君の実家に行こう!」と言ってくれました。
母が亡くなって以来、久しぶりに行く稲城の実家は、蔦がからまり、鍵を開けるのも四苦八苦。
けれど、几帳面な母の性格は家の中のあちこちに残っており、紙袋はSS.S.M.L.LLに区別していて、タオルも角まできちんとたたんでいました。
あの世の家族がこの世に戻ってくる「お盆」は、「日本版・万霊節」。
「お盆」ということで、夫や息子と一緒に、母も仏壇のあるこの家に戻ってきてくれていたとしたら、「全員集合」になっていたのかもしれません。



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