6月21日、森山未来さん出演のSTILL LIFE(神戸文化ホール中ホール)を鑑賞。
2024年にノルウェー・オスロで世界初演されたプロジェクトの再演が神戸で実現した舞台です。

ノルウェーの劇作家アラン=ルシアン・オイエン氏による演出・振り付け。
森山未来さんと共にダンサーとして出演されたのは、アルゼンチンのダニエル・プロイエット氏。
混声合唱団はもーるの10名の皆さんが助演。自然の驚異として二人の前に立ち現れたり、厳かな天の声を告げる巫女のような存在になったり、舞台と客席を繋ぐ役を担ったり。
舞台冒頭、携帯電話を持つ森山さんが登場。不快な電子音が流れます。現代社会の苛立ちと苦悩が浮き上がりました。
確かに現代は、電車の中でも人同士が会話するシーンは減り、それぞれ各人が携帯を見つめている、という異様な様相が広がっています。
AIにより答えがすぐに出る時代、テクノロジーの進歩によって、人と人、人と自然の距離感が明らかに変わったことは否めません。
自然豊かなノルウェー出身のアラン氏は、この現代の深い問題を舞台で問いたかったのかもしれません。
ダンサー2人の身体表現によって、「叫び」「混乱」「優しさ」「愛」「驚愕」など様々な感情がダイレクトに伝わり、
2人の距離は、拒絶によって遠く離れ、抱擁によって一体となり、死によって自然に帰っていきます。
最後は衣装も原初生命体に回帰。そして音楽はモーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスが流れ、神への祈り・救済と共に舞台が閉じられました。
コンテンポラリーの舞台に、クラシックの代表モーツァルトが使われたことに驚きましたが、自然と共生していた時代への回帰という意味がこめられていたのかもしれません。
電子音のアヴェ・ヴェルム・コルプスが、電子音から解放された(と言ってもPAを通してですが・・・)「音楽」になった瞬間、聴く者の緊張が解かれるように感じました。
そういえば、アラン氏の故郷ノルウェーの作曲家グリークの曲には、自然への憧憬、自然と共生する人々の暮らしの風景が織り込まれている作品が多いことを思い出しました。
人の生とは何か、自然との共生はいかにあるべきかを、突き付けられた作品でした。
神戸出身の森山さんファンで埋め尽くされた会場は、最後のシーンが終わるとスタンディング・オーベーション!
コンテンポラリーのダンサーとしてのみならず、表現者として多彩な活動をされている森山さんの才能を、あらためて感じた時間でもありました。


コメント