Dulken   
Boesendorfer Emperor
 Johann Strauss
Louis Dulcken
Graf(1839)
Pleyel (1843)
Erard (1868) 工事中

Dulcken

ドゥルケンは、19世紀の初めに制作された楽器です。初期のロマン派のピアノ音楽が、どのような楽器で奏でられていたのかを知る上で貴重な楽器です。
このピアノは、、ウィーンの巨匠、イエルク・デムス先生が所蔵されている楽器ですが、都内のあるホールに数ヶ月間預けられることになり、先生の特別のお許しを得て、この間、調整を兼ねて自由に弾かせていただくことができました。
このピアノがウィーンに戻ることになった日は、名残惜しく、お別れに「蛍の光」を弾いたほどです。


音域5オクターブと聞いていたのですが、実際は6オクターブでした。制作時期を示す資料はなかったのですが、おそらく1800年以降の楽器ではないかと思われます。

ヴァルターに比べて音の立ち上がりが鋭く芯があるように感じます。やはりこの頃の10年20年の違い、そして制作家によっての個性の違いは、現代に比べて大きいように感じます。
繊細な響きが、独特の魅力を持った余韻で残り、こまやかな表現を可能にしています。中のアクションを見てもシャンクの部分は、ちょうど手羽中の骨くらいの細さでしょう。

このデュルケンのレプリカを使ってコンクールが行われ、審査をしたことがありますが、ことデュルケンについては、オリジナルとレプリカは別物、という印象を強く持ちました。
デュルケンのレプリカは、ある意味、頑丈だったのですが、オリジナルの持っている「はかなさ」が、なかなか出てきませんでした。



楽器の制作者、ヨハン・ルートヴィッヒ・ドゥルケン(1761-1835?)は、オランダ出身の鍵盤楽器制作者です。アムステルダムに生まれ、1781年にミュンヘンに移り住み、ここに工房を開いて、ピアノフォルテの制作を行いました。
ドゥルケンの祖父ヨハン・ダニエル・ドゥルケン(1706-1757)は、18世紀のオランダで最も名声を博した鍵盤楽器制作者でした。


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