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T 次の文章は、 "The Oxford Dictionary of Music"  の中の piano の項目の一部である。
この文章を読んで、以下の問に答えなさい。

Although there are other claimants to the invention of the instrument(pianoforte), it is generally accepted that the earliest instrument of its type was made in Florence, c.1698-1700, by Bartolomeo ( 1 ), who produced what he called a gravicembalo col piano e forte, i.e. a 'harpsichord with loudness and softness' : for the harpsichord's plucking of the string he had substituted the blows of a series of hammers, and it was this that gave the players of his instrument their new power of control of degrees of force. The ( 1 ) pianoforte had a range of 4 to 4 1/2 octaves.
( 1 )'s idea was taken up in Germany by the organ-builder Gottfried Silbermann, who in 1726 made 2 pianoforte which he submitted to a Bach, whose opinion of them was unfavourable and perhaps led to the improvements which apparently were introduced.
In 1747 a Bach, on a visit to the court of Frederick the Great at Potsdam, played the Silbermann pianoforte there. All pianofortes up to this point were of the harpsichord shape - rather like what we now call the grand pianoforte, with the string horizontal and in line with the relevant finger-keys. The first pianoforte in clavichord shape, known as the square pianoforte, was made by Frederici of Gera, but he was closely followed by one of Silbermann's apprentices, Johannes Zumpe, who went to London and introduced there the popular rectangular form of the instrument. Further impetus to the pianoforte was given by b J. C. Bach, when he settled in London, and by Clementi. Developments in the 'action' of the instrument were made by Backers, John Broadwood, and Stodart. Broadwood made changes in the square pianoforte. In France, Erard made the square, and later grand pianoforte., c while the Austrian Andreas Stein found a way of giving extra lightness of touch to the grand. The first American-built pianoforte were by J. Behrent in Philadelphia, 1775.

(1)には同じ人名(姓名)が入るが、それは、次のうちどれか。( a )

a. Cristofori   b. Vivaldi  c. Jommelli d.. Alberti  e. Sammartini

(2)下線部a の Bach (2箇所)は、次のどの Bach か。 ( a )

a. Johann Sebastian Bach   b. Johann Christian Bach  c. Carl Philipp Emanuel Bach

(3)下線部b の J.C.Bach(Johann Christian Bach)から大きな影響を受けた作曲家は、次のうち誰か。 ( c )

a. J.S.Bach   b. J.Haydn  c. Mozart  d. Beethoven  e. Clementi

(4)下線部c が言及している楽器ともっとも縁が深かった作曲家は、次のうち誰か。

( c )

a. J.S.Bach   b. J.Haydn  c. Mozart  d. Beethoven  e. Schubert

(5)下線部c が言及している楽器の特徴として不適当なものは、次のうちどれか。 

( c )

a. 現代の楽器に比べてハンマーがとても小さかった。
b. フレームが木でできていて、全体の重量がとても小さかったので、演奏会場の間を運ぶことができた。
c. エスケープメント機構がついていなかったため、タッチした後の鍵盤の戻りが悪く、奏法上の工夫が必要だった。
d. 奏法としては、体全体を充分に使うというよりは、上半身、とくに指先の微妙なコントロールを必要とする楽器であった。
e. 1780年代前後のウィーンを代表する楽器であった。

(6)上の英文も参考にしながら、後の@〜Fの文章の内容が年代順に正しく並べられているのは、
a〜e のうちどれか答えなさい。        ( d )

a. D→B→@→A→F→C→E
b. A→D→E→@→C→F→B
c. A→@→D→E→B→F→C
d. D→A→@→E→C→F→B
e. B→D→A→@→C→E→F

@バッハが、ジルバーマン制作のピアノフォルテを、プロイセンのフリードリヒ大王の前で演奏した。
Aフィレンツェでピアノの前身となる画期的な楽器が発明された。
B現代を代表するピアノ・メーカーであるベーゼンドルファー社が創立された。
Cモーツァルトがピアノフォルテを使って、ピアノ・コンチェルトの予約演奏会シリーズを行った。
Dヨーロッパのあちこちでチェンバロが盛んに制作され、演奏されるようになった。
Eロンドンでスクエア型のピアノフォルテが制作され、ヨハン・クリスティアン・バッハがこの楽器のためのピアノ・ソナタを作曲した。
Fハイドンがイギリスに演奏旅行を行い、ウィーン式アクションよりも音量の出るイギリス式アクションの楽器を想定し、一連のピアノ・ソナタを作曲した。

U 次の3つのグループの中から1曲を選び、その作品を弾くときに、どのようなイメージを持ち、どのようなアプローチで、どのような点に留意しながら弾いているか、あなた自身の考えを記しなさい。

(グループ1)ハ長調K545などモーツァルトのピアノ・ソナタ
(グループ2)ワルトシュタイン・ソナタなどベートーヴェンのピアノ・ソナタ
(グループ3)シューベルト、シューマンまたはメンデルスゾーンのピアノ作品

(解答 略)

V ショパンの作品と演奏に関する次の10の文章のうち、明らかに間違っていると考えられるものの番号をすべて書き出しなさい。

( 2  5  9  10 )

1) 1830年代のパリには芸術家たちが集まるサロンがあり、ショパンはよくサロンでピアノを弾いた。ショパンの音楽は、サロンの音楽ともいうべき雰囲気を持っている。
2)ショパンとリストは互いにまったく面識がなかったが、それにもかかわらずその作風はとてもよく似ていて、互いに大きな影響を与え合った。
3)シューマンが夢の中の混沌とした世界、幻想の世界に分け入ろうとするとき、ショパンは、研ぎ澄まされた感性をもった聴き手の耳を意識し、完成度の高い作品を追い求めたと言える。
4)ショパンは意味もなくテンポが揺れる演奏を嫌ったといわれ、テンポ・ルバートも節度のあるものでなければならない。
5)今日、一流のピアニストによるショパンの演奏、また、権威の高いコンクールでは、すべてヤン・エキエルによる「ナショナル・エディション」(エキエル版)が指定されており、エキエル版の登場によってそれまでの版は今後使われなくなると見込まれる。
6)ショパンが活躍した時代は、プレイエル、エラールなどのピアノの名器に改良が加えられ、本格的な「ピアノの時代」を迎えようとしていた、まさにその時期に当たっていた。
7)《小犬のワルツ》などに出てくる軽やかな装飾音では、打鍵した直後にぱっと指を上げることができる敏捷性が求められる。
8)ショパンのとくにノクターンでは、指の腹の柔らかい感触を意識し、柔らかい音色をどう出すかを研究することが必要である。
9)モーツァルトと違ってショパンの音楽はロマン派の芸術であり、激しい感情を表現するためにペダルを充分に使うべきであり、モーツァルトほど音の濁りを嫌うべきではなく、迫力のある音の洪水で演奏空間を満たすというアプローチで臨む方がよい。
10)マズルカはフランスのロワール渓谷に伝わる舞曲であり、父がフランス人であったポーランド人ショパンの、フランスの民俗文化への憧れを象徴する作品群である。

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