第1楽章 Allegro con brio
第2楽章 Andante con moto
第3楽章 Allegro
第4楽章 Allegro
日本フィルハーモニー交響弦楽団 指揮 : 小林 研一郎 ピアノ : 久元 祐子
主催:(株)セレモアつくば マネジメント:プロ アルテ ムジケ
<プログラム・ノート> 久元 祐子
今夜は、ドイツの大作曲家、ルートヴッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven 1770−1827)の作品をお聴きいただきます。
ベートーヴェンは、ボンの宮廷に仕える音楽家の家に生まれ、子供の頃からピアノの即興演奏に才能を発揮しました。1792年、ウィーンに出て独立した音楽家としての人生を歩み始めます。前の年にモーツァルトは亡くなっていました。若きベートーヴェンの後援者だったワルトシュタイン伯爵は、「モーツァルトの魂をハイドンの手から受けるように」と激励したと言われます。
ウィーンでは、ハイドンに師事し、モーツァルトの作品も研究しながら、次第に独自の作風を築いていきます。名声は高まっていきましたが、音楽家として致命的な耳の疾患に悩まされるようになります。絶望から自殺まで考えますが、1802年、「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いて、絶望を克服するという意志の強さを見せ、この後、作風はさらに充実し、名作を次々に書いていきました。きょうお聴きいただきます3曲は、いずれも、ベートーヴェンが最も気力、体力とも充実した、中期を代表する名曲です。
後期には体調が悪化し、甥カールとの葛藤など苦悩が深まったと言われます。しかし、ほとんど耳が聞こえない、沈黙の中から生まれたピアノ・ソナタ、弦楽四重奏曲など晩年の作品群は、比類のない神々しさと精神性を湛え、至高の芸術してそびえ立っています。
ベートーヴェンは数々の奇行でも知られましたが、その存在は、ウィーン市民の宝でした。葬儀には数万人のウィーン市民が駆けつけたと言われています。