東フィルと「戴冠式」を協演

沼津市民文化会館 で、金 聖響さん指揮の東京フィルハーモニー交響楽団と協演し、先週の昭島に続いて、モーツァルトのピアノ協奏曲 第26番 ニ長調 KV537 「戴冠式」を弾かせていただきました。

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今回の戴冠式は、3カ所連続してさせていただいたことになるのですが、異なる会場、ピアノで、指揮、オーケストラが違うと、曲もまったく違うもののようで、毎回新しい発見の連続でした。
それにしても、モーツァルトは、ピアノ協奏曲のジャンルで、なんと大きな成果をあげたのだろうとピアノを弾きながら、いつも思います。自身、ピアニストでもあったモーツァルトが自分で弾くことを想定して作ったのですから、圧倒的な存在感をソロのパートに与えていることは当たりまえですが、そういった表面的な華やかさにとどまりません。
バロック時代から、鍵盤楽器のための協奏曲はありましたが、これほど、オペラの二重奏や三重奏のように、管楽器や弦楽器とかけあい、解け合い、あるいは、対立しあい、、といったこまやかな会話を成り立たせ、ピアノ協奏曲の分野に新風を持ち込んだのは、やはりモーツァルトと言っていいでしょう。
「モーツァルトの曲は、初めて聞いても美しく、なんども勉強をしたあとに聞いてもおもしろい」と
あるチェリストの方がおっしゃっておられた言葉や、「モーツァルトのピアノコンチェルトでオーボエを弾くのが、たまらなく好き。ソロなんかと比較にならないくらいの喜びを感じる」という言葉などを思い出しました。
今回は、エドウィン・フィッシャーのカデンツを使いました。私としては、オーソドックスなカデンツだと思っていたのですが、「斬新なカデンツだ!」とおっしゃってくださっお客様が何人かおられました。気品とスピード感とこまやかな息づかいのあるモーツァルト像を目指して、また次の曲に挑戦です。

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