エリーゼのために@オーストリア大使館 

携帯電話に「ピアノを弾きにきて」というメッセージ。1ヵ月ほど前のことでした。お声の主は在日オーストリア大使館のエリザベート・ベルタニョーリ大使。以前お食事をご一緒させていただいた折、ちらっとお話しされておられたことを思い出しましたが、この夏にオーストリアに帰国されることを決められたとか。これまで何度も演奏会にいらしてくださり、励ましてくださってきた優しい大使です。

1週間前に、大使館にお邪魔し今日の「さよならコンサート」のお打ち合わせをしました。

きっこりん(2025万博オーストリアパビリオンのキャラクター)の前で記念撮影したあと、「大使!伴奏させてください」と歌っていただきました。コーラスをされておられる大使のレパートリーの中から「ふるさと」の他「When I Sing a Song」「Little Birds」など。念入りに合わせたのですが、今朝の電話で「Yuko!やっぱり” ふるさと” だけにしましょう。」で2曲はお蔵入り。。。
日の目を見ずに終わってしまいましたが、まど・みちお作詩、美智子上皇后陛下英訳、上田真樹さん作曲の素敵な2曲は私にとり大切な想い出になりました。

以前は物置として椅子が積み重なっていた奥の部屋を片付けて、すっきりした気付室に改造された大使。リラックスアロマキャンドルが灯され、クリムトやエゴン・シーレの絵が飾られています。「チーズトーストとかいる?」「さっきの水はもうぬるくなったでしょうから冷たいのを入れなおしてくる?」と申し訳ないほど、細やかにお気遣いくださいます。クレムスでお待ちの90歳のお母様もお幸せなことでしょう。

今日のコンサートは錚々たるお客様を前に大使の優雅なスピーチで開始されました。この4年間の日本での想い出の数々をお話しになられた後、「ウィーンの名器ベーゼンドルファーを最も美しい音で奏でてくれるアーティスト、そして私の友達。」と身に余るご紹介の言葉をくださいました。
恋人エリザベート(エリーゼ)のために作曲されたベートーヴェンの「エリーゼのために」で開始。
シューベルトやリストなどベーゼンドルファーにちなんだ作曲家の作品を交え、最後はウィーンの伝統、ウィンナーワルツ。

そして会場のゲストの皆様とともに大使の歌唱で「ふるさと」。「志を果たして いつの日にか帰らん」の歌詞は、大使にぴったりでした。
これまでベルギーや韓国にも赴任されてきた大使ですが、最後の赴任地日本のことはきっと特別に思ってくださることでしょう。

今夜も大切なお客様40名程、お1人お1人と笑顔でお話しされ、「私は ”さよなら” は言わない。” Auf Wiedersehen(また逢う日まで)” 」と握手を交わされていました。

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