CFX vs インペリアル

銀座ヤマハホール。
5時スタートで、調律師さんたちの前で、ヤマハのnewモデルのCFXとベーゼンドルファーのインペリアルを弾き比べさせていただきました。
ヤマハ、ベーゼンドルファー ― ともに最高峰の楽器です。
時をおかずして2台の楽器を弾かせていただき、両者の個性と響きの違いをあらためて感じることができました。

本当は、それぞれのピアノに合った曲を弾きたい、という思いはあるのですが、今日はあくまで同じ条件で違いを感じる、というコンセプトなので、同じ曲目を演奏。
バッハのプレリュード、モーツァルトの幻想曲KV397 、ショパン「革命」、シューベルト「クーペルヴィーザーワルツ」、リスト編曲の「献呈」。
時代もスタイル違う5曲を選びました。それぞれの曲の魅力をピアノの個性が浮き出るように引きだしたいと思いながらリハーサルで楽器の状態をチェック。
CFXは、ごくまれにわずかなペダルのきしみが発生しましたが、大変いい状態です。よく弾きこまれていて、エンジンがすぐにかかる超優秀マシンといったところ。これだけ完成度の高い楽器が日本で生まれたことに日本人の演奏家として、誇らしい思いがしてきます。整音の面でもばらつきがなく、全体のバランスも良く、さまざまな要求に素直に応えてくれる楽器でした。

一方、ベーゼンドルファーの方は、癖があるなどとと言われることがあるのですが、その独特の個性が好きで、長年弾いてきた最も親しみのある楽器です。人声のような音色、まろやかな温かさが魅力。弦楽器にも管楽器にも声にもなれる「楽器を超えた楽器」ですが、打楽器的な要素が少なく、切りつけるような鋭さの曲には不向きです。願わくは、CFX同様コンスタントに使用されて、楽器が本来もっている香りと魅力が全開してくれるのを待ちたいところです。

終演後、楽器売場にお邪魔し、2月にウィーンで見た2011年のリスト・モデルを試弾。
ウィーンでは、まだ譜面台にはめこむリストの顔が決まっていなくて、いくつもの種類がごろごろ置いてあったのですが、最終決断が行われ、きちんとリストの顔が埋め込まれていました。リストというと華やかなイメージですが、どちらかというと渋めのデザイン。
音は、まとまりのある甘い味わいです。たしか25台限定だったと思うのですが、今回来日した1台が何と通し番号第1番の楽器だそうです。

懇親会では、調律師さん、鍵盤担当のスタッフのみなさんと懇談。
「ピアノの営業になるなら、もっと副科のピアノを真面目にやっておけば良かった・・・」
という管楽器出身の元気なNさん。
「レコーディング・ダイエットで90キロから60キロになりました」
と陽気でスリムなTさん、
リスト似のピアノ科出身Yさんなど若手個性派が勢揃い。
ピアノ界を皆で盛り立てていきましょう、と一本締めでお開きとなりました。

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