「にしきまつりコンサート」

礒山雅先生が長年続けてこられた「にしきまつりコンサート」に出演させていただきました。
ソプラノの澤畑恵美先生とご一緒です。

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今回の「にしきまつりコンサート」、これまでで最多の入場者数とのことで、錦学習館講堂のすべての椅子が会場に並んだそうです。
早春のうららかなひととき、澤畑先生の美しい歌声で、皆様に”幸せ”をお届けできたのではないかと思っています。
多くのみなさんが、心から楽しんでおられる様子が、会場から伝わってきました。
お話しされる礒山先生と会場を埋め尽くしたみなさんとの間にすでに「音楽の輪」が出来上がっていて、そこに演奏家が乗せていただいている、という感じです。

ピアノソロのコーナーでのモーツァルトの幻想曲は、よく演奏されるミュラーの補筆版ではなく、私自身が補筆してみました。この曲の次に歌われる「ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼し折」がハ短調ですので、ハ短調幻想曲の最後のモチーフ(音階を3オクターブ駆け上がる)を使って曲を閉じることにしました。

池内友次郎作品は、公開で演奏するのは、今日で3回目。回を追うごとに、使われている音と響き、そしてそこから生まれる情感のようなものに近づくことができているような気がします。
協和音に1粒の不協和音を混ぜることによって生まれる奥行と深い色あい。それはまるで絵具に少量の砂や粉を混ぜるような感じで、日本画の微妙な色彩の変化に通じるように思えました。
同じ赤でも茜色、小豆色、朱色・・・・と微細な違いが感じられます。
また、俳人でもあった池内には、独自の形式美の世界があるような気がします。
西洋の伝統と技術、楽器によって日本人の感性を表現することに挑戦した、多くの日本人作曲家たち。
その草分け的存在とも言える池内作品を通じ、ふだん意識していない自分の中にある「日本人」の想いとDNAを意識することができたように感じた時間でした。

澤畑先生とは、少しずつレパートリーを増やしています。
次のステージでは、また別の曲を聴いていただけることでしょう。佳き歌をひとつひとつ覚えることの幸せを感じています。

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