小澤征爾さんインタビュー

今朝は、プレイエルの足の修理のため搬出がありました。プレイエルが置いてあった場所に空間ができ、ちょっと寂しくなりました。
戻ってくるのは、5月の母の日を予定しています。1843年製ですから169歳。
足のネジ穴が磨り減ってきていて、演奏会などで足を気にしながら移動してきましたので、本格的に治し、心配が減ると思うと、気持ちが楽になります。

午後は、1870年製エラールの調査のため、赤坂にあるホールへ。
エラールは、2年ほど使われていなかったそうですが、充分コンサートに使うことが可能な状態でした。美しい歴史的楽器が良い状態で保存され、これからたくさんの音楽を奏でてくれる楽器になることを祈りつつ、部屋をあとにしました。

夜は、巣鴨で、PTNAメディア委員会。
今井顕先生、武田真理先生をはじめメンバーの先生方と久しぶりにお会いし、ピアノ教育に必要なものは何かについて、企画を通じた意見交換が行われました。

帰りの電車で、先週3月6日に切り取っておいた朝日新聞の記事「小澤征爾さんの教育論」を読みました。
「レベル下げるな 本気見せなきゃ」というサブタイトル。
聞き手は吉田純子さん。

「みんなで響きをつくる快感を、若いときに一度でも味わうとね、一生音楽にとりつかれちゃうんです」

まさに、至言です。

私の音楽初体験は、小学校での合唱部の伴奏でした。以来、アンサンブルで息を合わせること、響きの中に自分のピアノの音が溶け合うことの喜びを感じて、ウン十年になります。

「美しいハーモニーのなかに、自分の声がとけこんでいる。。。。そう実感することに人生の本質のようなものがある」

「ハーモニーやリズムやメロディーを他人とつくりだす快感が体にしみこんでる人は、ただソロだけ弾いてきた人より、間違いなく音楽家として幅が大きくなる」

そして、小澤さんは、続けます。

「もし音楽家になれず、違う仕事についても、その子のその後の人生に、音楽が何かすてきなものを残していてほしい」
と。

音楽教育を受けたあと、ほかの職業についた学生さんにとり、アンサンブルの経験、ハーモニーを分かち合う快感などは、その後の人生に大きな何かをもたらすだろうと思います。音楽は、理屈ではなく、深く、体の中に、心の中にしみこんでいくものだからです。

小澤さんは、今年も若い人のために、音楽塾やアカデミーでの指導を予定されておられます。

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