「砂川東支部女性部会」コンサート

砂川東支部女性部会主催のコンサート、毎年、早春にお招きいただいてまいりましたが、今回で8回目になりました。
今回は、ソプラノの澤畑恵美さんとのステージで、モーツァルトの歌曲、フランス歌曲とピアノ・ソロ、日本歌曲、それに池内友次郎の作品。

「早春賦」を作曲した中田章は、「さくら横丁」の中田喜直のお父さんです。
「自分はたくさん春の歌を書いたが、早春賦にはかなわない」
と、喜直氏は言ったと伝えられます。
一方、俳人高浜虚子の次男坊として生まれた池内友次郎。
慶応大学を中退し、フランスに渡って勉強した作曲家ですが、俳句も創作し、「ホトトギス」にも投稿していたそうです。
今回、プレリュードを弾かせていただきました。日本の情緒を西洋の楽器で表現することへの挑戦のようなもmのを感じました。
曲は、繊細なハーモニーと流れるような琴の音色が拮抗したようにできています。日本には、同じ赤でも茜色、朱色など微妙に違う色あいがあり、それらの感性を音に移し替えたような和音の響きには共感を覚えます。
フランス仕込みの和声感がそれをまとめあげる力を彼に与えたのでしょう。激しい情念を秘めたような日本的な部分もあります。
この作品を自分のレパートリーとして来年イタリアでの演奏会に持っていこう・・・と思いました。

ドビュッシーの作品は、17歳のときの歌曲「星の夜」、そして、その10年くらい後に作曲されたピアノ曲「月の光」を続けて演奏しましたが、ドビュッシーのハーモニーに対する感性は、すでに若いときから抜きんでていたことを感じました。
ソプラノの声にあこがれたドビュッシー。ひんやりとした冷たさを感じさせるピアノ曲の中にも「声」を思わせる部分があり、新鮮です。

澤畑恵美さんの温かい、そして大きく自然な情愛に包まれ、会場のお客様とともに幸せなひとときでした。
春を呼ぶような音世界。
「クラシック初めてだったので、最初敷居が高いなぁ・・・なんて思ってたけれど、この8年でどんどんに好きになってきちゃって・・・」
と、おっしゃってくださる方もあり、嬉しい限りでした。

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