オットー・ビーバ先生 講演会

豊島区「あうるすぽっと」で開催された 日本モーツァルト協会主催「オットー・ビーバ先生 講演会」に伺いました。ウィーン楽友協会資料館前館長のビーバ先生。日本語で「こ・ん・に・ち・は ♪」と笑顔でご挨拶された後、2時間にわたってエネルギッシュに、休み無しでお話しになられました。(奇跡の御年77歳‼)
テーマは、モーツァルトの『レクイエム』~器楽の扱いをめぐる知られざる秘密~。

ビーバ先生のお話によると『レクイエム』の作曲依頼者であるフランツ・フォン・ヴァルセック伯爵は、チェロやフルートも嗜む音楽愛好家。作曲された他人の楽譜に自分の名前を書いた紙を貼りつけたり、楽譜の清書を自分で行い作曲家の名前ではなくそこに自分の名前を書いたり、、、という念の入った人だったそうです。今だったら著作権に引っかかる ”笑えない話” ですが、当時はそんな「お遊び」がまかり通っていた寛容な時代だったとのこと。

ウィンナー・ノイシュタットの教会で、若くして亡くなったヴァルセック夫人の追悼礼拝のミサを行い『レクイエム』を自ら指揮したヴァルセック伯爵。演奏したミュージシャン達も「実はモーツァルトの作品」ということを知っていたし、伯爵も照れ笑いをしていたのだそうです。

トロンボーンに2オクターヴも跳躍する超絶技巧を要求したり、当時、新しい楽器であるバセットホルンを入れたり・・・。楽器編成にもモーツァルトの思惑や楽器調達の事情まで含まれるとは、なんと興味深いことでしょう。

ウィンナー・ノイシュタットは、現在ベーゼンドルファー工場があり、何度も訪れた街なので、ウィーンからの距離感も想像できました。まるで18世紀にタイムスリップするようなリアリティに溢れたご講義、あっという間の2時間でした。ビーバ先生のお隣で通訳をされたのが、小宮正安先生。ウィーンの文化・音楽・歴史に精通され、ビーバ先生の長年のご友人でもある小宮先生だからこその見事な通訳。” 同時通訳 ”と言えるほどのスピーディさとわかりやすさで、受講者を魅了してくださいました。

厚かましくも記念撮影ご一緒させていただきました。

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