神戸ファッション美術館

朝10時半。JRで明石に向かいます。明石駅を降りるとたくさんの鯛と蛸の看板が・・・・。
どこを見てもたこたこたこたこたいたいたいたい。
師走で賑わう「魚の棚」を見学し、新鮮な明石蛸や香ばしい穴子のランチで明石を満喫。JRでとって返し、住吉駅から、六甲ライナーに乗り六甲アイランドへ。
神戸ファッション美術館 にお伺いさせていただきました。

美術館では、特別展「巨匠フォルチュニィの夢 2012 絹(シルク)見聞録」が開かれていました。
絹サテンにプリーツをほどこしたドレスなどうっとりするような美しい絹の世界に、すぐに引き込まれます。機械で施されている画一的なプリーツと違い、気が遠くなるような手作業で創られるプリーツは、独特のリズム、繊細な変化と動きがあり、プルーストが「失われた時を求めて」の中でオマージュを捧げていることも納得できます。
絹の顕微鏡写真も展示されていましたが、糸の断面は三角形。おかいこさんが口から出して絹糸が生まれる・・・その過程で生まれる形ですが、そのせいで、絹独特の光を放つということでした。

1804年の戴冠式の絵や資料をもとに再現されたナポレオン一世の衣装(下の写真、神戸ファッション美術館 からお借りしています。)、18世紀のローブ・ア・ラ・フランセーズから、19世紀のクリノリン・スタイル、バッスル・スタイル、20世紀までの移り変わりまでの服飾史を追った展示など、見応え充分。

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モーツァルト時代の貴族の衣装は、オペラを見ているようで、今にも踊り出したり、歌ったりしそうな雰囲気でした。服に合わせて一体、一体、マネキンを作られているそうで、お化粧も学芸員の浜田久仁雄さんの手になるものだそうです。
オペラでおなじみの貴族男性の白タイツ姿、働かず、足を使わないので、足が細い。白タイツの下に上げ底ならぬ太く見せるための工夫までしていたそうです。ところが、おなかは出てしまう ― そういう体型をカバーするようにデザインされた上着が生まれます。それに施された素晴らしい刺繍。貴族の衣装は、当時1着1000万円以上したそうで、それを1年に数着作っていたという信じられないような話。
燕尾服という完成形が出来たところで、服飾の歴史は、女性に移ります。
コルセットでウェストを40センチにまで縮めて着るようなドレスには唖然。骨が変形するほどにまで締め上げるのだそうです。見ているだけで息が苦しくなってきそうな・・・けれどため息が出るほど美しいドレスでした。纏足によってだけ捌くことの出来る中国の靴なども展示され、美しさのために体を変形させる時代があったということをあらためて実感しました。
そんな時代に生まれなくて良かった?!

そのコルセットから開放され、快適さも重視されるようになって、さまざまなファッションが生まれては、消え・・・まばゆいばかりのオートクチュールの歴史が刻まれていきます。
私が、パッと見て引き込まれたドレスは、マドレーヌ・ヴィオネ(1876~1975)の作品です。
バイアスカット(布地を斜めに使う)の母と呼ばれているそうですが、快適さと優雅さ、リズムと動きを兼ね備えています。ついついピアノを弾けるかどうか、でドレスを見ている自分に気づきました。
学芸員の浜田久仁雄さんとツーショット。

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何時間いても飽きない、ファッションの殿堂でした。

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