竹麦魚

明治記念館内の羽衣で、久しぶりにお寿司を頂きました。

主任の田村清宏さんの握る珠玉の逸品に感動と幸せのひととき。
部位によって異なる穴子!脂の乗ったお腹はスダチとお塩で、淡白な尾の方は煮詰めたタレで。
マグロの赤身の中心部をヅケで頂くのですが、そのままのお味とスダチをかけたものとの食べ比べ。
赤海老に雲丹をひとかけら乗せて甲殻類のマリアージュ!
外してすぐが一番美味しい貝類。時間勝負の赤貝は大好物の1つですが、貝の下にヒモが隠されてました。ヒモの歯ごたえと風味が貝の味をさらに引き立ててくれます。ヒモの方が味が濃いのだそうです。
お魚についての楽しい話で、秋田のお酒、新政の杯が進んでしまいます。主人と違いたくさんは飲めないのですが、お寿司にはやっぱり日本酒だなぁ、としみじみ思う瞬間です。
お寿司が出てくるリズム、田村さんの笑顔、静かでしっとりとしたバリトンの声、、、。和の美学を感じました。
田村さんの手元を見ると、かなり短い出刃が。15センチくらいでしょうか。お尋ねすると、もともとは普通の長い出刃だったそうで、10年位使い込むうちに今の長さになったそうです。
もうこうなると、手指の一部という感覚だそうです。「もともと道具とはそういうもの」と静かに微笑んで仰います。
道具は生きていて、他の包丁を使うと包丁が嫉妬してもとに戻したときに怪我をする、とか。だから人に貸したりもしないのは当然だそうです。
最後の名工と言われる職人さんに、カリンの丈夫な木を持ち手に使い制作してもらった包丁は、使わずに飾ってあるとのこと。
奥の深い話をたくさんお聞きしました。
最後に、竹麦魚の薄三枚重ねの握り!大根おろしポン酢がほんの少し乗っていて、さっぱりしました。
「竹麦魚」を読めた人はこの10年に2人だとか。
かく言う私も全く読めず、ヒントをいっぱいもらって、ようやくホウボウ!と叫んだ次第。
大満足で外に出ると、
空高く、おぼろ月にウロコ雲!
秋の夜長のひとときでした。
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