ピアノ弾きと視力

「黒と白の縞模様や点模様が最も目に悪い」
と、以前誰かが言っていました。
真偽のほどはわかりませんが、楽譜も鍵盤も白と黒模様。練習すればするほど視力が落ちるという説です。

「練習して指の先が痛くなりませんか?」
とよく聞かれますが、そういうことはまずありません。
疲れるとすれば”目”です。特にこみいった曲の譜読みのあとはてきめんです。

ふだんから、空き時間に、なるべく緑を見ようとか、遠くを見ようと心がけているのですがなかなか・・・。

「ゴルフの石川選手は、視力のために、テレビを見ないし、携帯やゲームもほとんどしないんですよ!」
と、テレビレポーター。

なるほど、視力を落とすテレビ、コンピュータ、携帯は、ゴルフの敵とも言えましょう。
自分の球筋が見えなくなったらゴルファーとしては、先に進めないことでしょう。
ピアノも視力は悪いよりいい方が良い世界ですから、コンピュータはなるべく控えたいと思っているのですが、大学のシラバスから図書館の資料探しまでコンピュータ管理の世界です。
「やりません」ではすまない世の中になってしまいました。
このブログだってコンピュータの前に座って更新しているわけで・・・。

ピアノの鍵盤もゴルフのボールも、動かないものを打つという面では、共通です。
相手の投げるボールを打つ野球のように、動体視力が必要な世界とは違うのかもしれません。
けれど跳躍の瞬間、やはり眼球の動きは、要求されるように思うのです。目は大事にしたいと思います。

バッハやシューベルトの時代は、電気もない社会。
暗い中で楽譜を書きました。そのせいで、彼らの目は、かなり悪くなってしまい、シューベルトのメガネはかなり度のありそうな厚いものですし、バッハは最晩年視力を失いました。

ヨーロッパに留学した友人のほとんどが視力が悪くなって帰ってくるのは、あちらのロマンティックな暗めの明かりの中での勉強のせいかもしれません。

いつも暗い中で弾くのが好きなフランス人のミュージシャンが一言。
「女性とワインを美しく見せるのは、蝋燭の炎と月の明かりだ。日本の電灯は大嫌い!」

でも演奏は、明るい中でやりましょうよ。お互いの視力のために!

コメント

  1. nishisan より:

    眼蓄のあるお話
    国際的にも
    歴史的にも
    面白いエピソードばかり。
    ピアニスト、久元祐子さんの
    跳躍の瞬間とは
    キエフの大門へと移る瞬間のようなことでしょうか。