《皇帝》@松方ホール

昨年のベートーヴェンイヤー、いくつもの音楽会が「延期」となりました。
2月11日は、再延期となったアンサンブル神戸第65回定期演奏会に出演させていただきました。会場は神戸新聞松方ホール。プログラムは《コリオラン》《皇帝》《交響曲第8番》。

ハ短調《コリオラン》の悲劇的な和音で始まり、変ホ長調《皇帝》とのコントラストが際立つ前半。後半の充実した第8番シンフォニー。ベートーヴェンの魅力が詰まったプログラミングでした。打ち合わせ、練習、本番、というプロセスの中で、国籍、性別、年齢、個性が全く異なる40人の音の方向が定まっていく過程がアンサンブルの醍醐味。弦、菅、打の響きに囲まれ刺激的な数日でした。

感染対策のため楽屋近くの廊下の窓は解放されたままで寒風が入ってきたり、客席の座席数が制限されていたり、オーケストラの皆さんがマスク着用で演奏されたり、お客様との面会はできなかったり、、。いつもとは異なる演奏会でしたが、ベートーヴェンで一つになれる喜びに感謝しつつ、音に精魂を込めました。

ヘンレ版(2台ピアノ編曲)で譜読みして、ブライトコフのフルスコアで本番を重ねてきたこの曲。だいぶ「古スコア」となりました。
でも毎回軌道修正をしたり、ああでもないこうでもないと悩んだり、見えてくること やりたいことが増えたり・・・の連続で、決して古くなりません。

今回、あらためてこの曲の中に書かれた弱音への要求の多さに感じ入りました。ベートーヴェンが繊細なウィーンナートーンのピアノで作曲したこの曲の中には、限りないロマンと神秘性が秘められているように思えました。

終演後、指揮の矢野正浩先生と。

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