水彩用色鉛筆

暑い8月が過ぎ、9月に入りました。
自然の営みは変わらず、季節は巡ります。

只今、モーツァルトのソナタの中でも珍しく
ポリフォニックな手法で書かれた『ソナタKV533/494』に没頭中!

故礒山雅先生が「最も好きなソナタ」と仰り、
モーツァルト晩年に焦点をあてたレクチャーコンサートで
何度か弾かせていただいてきましたが、私自身なぜか好きになれなかった曲なのです。
最近、その複雑さと緻密さにはまっています。

このソナタは、第3楽章が1786年、すでに作曲されており、
1788年に第1、第2楽章が書かれ、第3楽章最後の部分にフーガが加筆されました。
そのため、作品番号もKV533/494という不思議な書き方になっています。

悲劇的と言われるモーツァルトの晩年ですが、
映画などで脚色された「悲劇」とは少し違うことが最近の研究でわかってきています。

1787年12月に「王室宮廷音楽家」の称号を賜り、
皇室に仕える音楽家の地位を得て
さあ、これから!という栄光への扉の前に立っている時期だった、という説。
モーツァルトはまさか自分にとって「最後の4年」になる、
なんて思ってもいなかった・・・。

ご興味のある方は、
クリストフ・ヴォルフ著(礒山雅訳):『モーツァルト最後の4年 栄光への門出』(春秋社)を是非。

フーガ好みの皇帝に敬意を表し
対位法的な技巧が繰り広げられたり
すでに完成していたロンドにフーガが加筆されたり。
モーツァルトの野心とエネルギーが音符の間から漲っています。

ところで、最近、アナリーゼ(分析)の時に手元に置くツール、60色の色鉛筆です。

10年以上前、フランスでの演奏会の後、
画家の方にスケッチ旅行に連れていっていただいたことがあり
その時、お小遣いを奮発して購入した水彩画用色鉛筆です。
水彩用なので、消しゴムで消えるのも助かります。

色鉛筆を持つと美しい片田舎の自然の風景が蘇ります。
今はすべてスマホで一瞬にして風景を記録する時代ですが、
下手なりに何度も何度も見ながらスケッチした風景は、決して忘れることがありません。

緑にも様々なヴァリエーションがあり、
同じ赤でも強い赤、温かい赤、、、といろいろ。
イメージに合う色を探す段階から自分なりのパズルが完成するまで、
楽しみの時間です。

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