ケーゲルシュタット・トリオ

毎年恒例の国立音楽大学「夏のコンサート」。
今年は、モーツァルトのピアノ三重奏曲「ケーゲルシュタット」で出演させていただきました。
共演は、武田忠善学長先生のクラリネット、松井直之先生のヴィオラです。
武田先生とも、松井先生とも、別の機会でそれぞれこの曲を何度かご一緒させていただいたことがあり、リハーサルも和気藹々。

時を経て、同じ曲を共演するとき、互いの変化を感じるのは楽しい瞬間です。
使用している楽器が変わったり、奏法が変わったり、解釈が深まったり・・・。
松井先生は、読響からN響に変わり、2児のパパになり、、、。と人生の階段を上るそれぞれの過程での「ケーゲルシュタット」です。松井先生の奥様がクラリネット奏者で、武田学長先生のお弟子さんだとか。縁の話で盛り上がりました。

この「ケーゲルシュタット」は、オペラ「フィガロの結婚」成功直後、音楽家として自信にあふれたモーツァルト円熟期の作品です。当時、モーツァルトの親友シュタットラーのクラリネット、
女弟子フランツィスカのピアノ、そしてモーツァルト自身のヴィオラで演奏されたそうです。

ピアノ、クラリネット、ヴィオラという特異な編成は、モーツァルトの自由な精神の現れ。音楽も斬新なアイディアにあふれており、オペラの台詞のようなやりとりが随所に見られます。弦、管、ピアノ、という異なる発音楽器、異なる音色がひとつになる面白さが魅力。こまやかな息遣いと室内楽の楽しさ全開の曲なのですが、今日の会場は1000人級の大ホール。ヴィオラ1本で勝負する松井先生は、「会場が広すぎる!」と言い続けておられました。モーツァルトが、大学教授の家での私的演奏会のために書いた曲。。。いつか、私的な空間で、また再演したいと思います。

涼やかなチラシをいただいたのが、2か月前。ここまでの酷暑を全く予想しておらず、これまでの演奏活動の中でも1番か2番の汗の量でした。滝のような汗が鍵盤に落ちながらのモーツァルト。。。
出演者全員分の汗を一人で引き受けたのではないか、、、と思われる感じでお恥ずかしい限り。
以前、落語家さんが「プロの落語家は汗をかかない。」と仰っておられたことがありました。
私は、まだまだ未熟者・・・ということを痛感した「酷暑のコンサート」でした。

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