国立音大、基礎ゼミ4日目。
朝10時、メディアセンターへ。
メディアセンターからの帰り道は、イタリア語教授のナンニーニ先生(Alda Nannini)と、新緑のキャンパスをそぞろ歩きしながらのおしゃべり。
チャーミングでカラーコーディネイトされた装いもお洒落なナンニーニ先生が流暢な日本語でおっしゃいます。
「私は日本に来て25年。とっても恥ずかしい」
「なぜ?」
とお聞きすると
「この18歳の子たちよりも長く日本にいるのに、日本語はまだまだネイティブにはなれない」
ですって。
なんと謙虚な!
ナンニーニ先生のご主人は、イタリア文学のご専門で、ダンテを研究しておられるとか。
昨年の私のイタリア演奏旅行のこと、また、普段弾いているリストの「ダンテを読んで」や「ペトラルカのソネット」などの話題で盛り上がりました。
以前、イタリアの友人に朗読をお願いしながらコンサートをしたとき、イタリア人にとっても古語のイタリア語は難しいと言われたという話をしました。
ナンニーニ先生がおっしゃるには、「神曲」は、単に語学として難しいだけでなく、哲学的、宗教的な内容で、奥行きが深く、解釈も難しいのだそうです。
そのあとのクラス授業では、ナンニーニ先生と私がそれぞれ自己紹介。
「私は、好奇心が旺盛」
とおっしゃるナンニーニ先生は、
「なぜ」「どうして?」
と周りからうるさがられるくらい、不思議に思うこと、疑問に思うことを追及するタイプだそうです。
まず日本に来ての挨拶。どうして、
「おはようございます」
なんだろう?
「朝早いです」
という確認が、なぜ挨拶として成り立つのか。
Good Morning は、良い朝を!であるし
Good Afternoon は、あなたに良い午後を!というニュアンス。
今日がいったいなんだというのだ?という感じだったそうです。
フランス語でも食事をいただくとき、ボナペティ。
良い食欲を!
という意味です。
日本では、「いただきます」。
上からいただいた食べ物を、自分がこれから食べます、
という意味。
おもしろい!と思ったそうです。
たしかに、文化は挨拶にも表れます。
「日本語は敬語が難しいでしょう?」
と言われるが、
「自分はそうは思わない」
敬語自体は、「見る」を「ご覧になる」「拝見する」と言葉を入れ替えすればよい。
難しいのは、相手がどういう関係なのか、どういう立場の人なのか、を”判断する”こと。
確かに、レストランで上席がどちらか・・・とこだわる日本人。
不思議に思われているのかもしれません。
音楽の分野では、以前から疑問に思っていたこともお聞きできました。
Allegro、Allegretto,Allegrinoの違いは?
笑い声で言えば
アレグロは、ハッハッハ!
アレグレットはフッフッフッフッフ!
アレグリーノは、フッフッフ
だそうです。
アレグロは、はっきりしたイメージ、そしてアレグレットはアレグリーノより賑やかなイメージとのこと、でした。
ずっと前からの疑問が氷解するようで、納得!
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