国立音楽大学・演奏論A

今日は、国立音楽大学での講義、演奏論Aの前半6回目、モーツァルトの最終回です。
まとめとして、即興演奏について弾きながら、お話ししました。

またモーツァルトの最終回ということで、希望者による公開演奏をしていただきました。
たまたま、ピアノソナタを弾いてくださった3人が全員ハ長調のK545、K330、K279。先週私が弾いたK309をあわせると、すべてのハ長調ソナタが登場したことになります。
また、二台ピアノで、K448のソナタも演奏されました。

同じハ長調なのに、モーツァルトの人生のそれぞれのステージが曲に現れています。
19歳のミュンヘン旅行のとき、ザルツブルクからの解放感にあふれた青春の作品、ウィーンに移り住み、貴族のサロンの雰囲気に触れたとき、不思議な透明感に満ちた後期の世界、、、と
まったく違う雰囲気を持った4曲であることを痛感しました。

またモーツァルトの作品は、鏡のように演奏者の内面を映し出すように思います。
20歳に満たない、若い学生さんたちが今日弾いてくださった曲を10年後、20年後に演奏したら、また違った味わいが出てくることと思います。
さまざまな経験を積み重ねる中で、譜面から受ける感動もまた深まっていくことでしょう。それが、古典のすばらしさだと思います。

授業が終わって、楽器博物館に行き、1850年製のエラールでリストを弾き、タッチや音色を楽しみました。自分がいつも弾いている1868年製のエラールとはタッチも音色も異なり、年代ごとの楽器の違い、というのも味わうことができました。

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