細川俊夫 招聘教授 公開講座

国立音大招聘教授の細川俊夫先生の公開講座が創作科目会主催で行われました。
「作曲特別レッスン」「細川俊夫 自作を語る」「細川俊夫作品演奏ワークショップ」の3回シリーズ。今日は、その第2回目、先生が自作について直接想いを語られる、というまたとない機会となりました。
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規則的リズムを初めて使った「セレモニアル・ダンス」など、氏の数々の作品が生まれるにあたっての経緯、日本人として西洋の楽器をどう使っていくのか・・・など興味深い内容でした。
大震災後、「メディテーション」がミュンヘン・チェンバーオーケストラによって初演され、今週末(7月4日)には、神奈川フィルによって日本初演されます。荒れ狂う自然、人間を脅威にさらす自然、追悼の想いを表現された「嘆き」、そして現在取り組んでおられる福島を舞台にしたオペラ、これらを合わせて3部作として考えておられるそうです。
「創作の過程で西洋の楽器を自分の楽器として自分が使いたい素材に変えてしまうのが”作曲”である」
「西洋のダンスは、重力から自由になるが、東洋のダンスは、重力に沿って舞う。
生け花にも表れている、消えていく命の流れに”沿う”という日本の発想」
など日本の作曲家としてのスタンスと哲学が語られました。
光と影を同時進行させていく手法についても尺八、フルートを例に説明。
息は風であり、吐く息は光、吸う息は陰として表現され、自然の動きの中で円を描くように曲が進むさまは、人間の生そのものであるように感じました。
「日本の演奏会で、モーツァルトなど古典と並んで演奏されることについてどう思われますか」という質問に対して、「ただ単に面白いから並べる、というプログラミングは、はっきり言って違和感を感じる」とのお答え。
けれどヨーロッパは、異なる音楽体験を求める傾向にあり、その要求に応えていきたい、とのことでした。
鋭い眼光と静かな語り口が印象的な細川先生の講座でした。
7月13日の国立音大定期演奏会で上演される「ダンス・イマジネールII」についてのワークショップが7月6日に行われます。

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