「toi toi toi (トイトイトイ)」
この言葉を最初に教えてくれたのは、大学時代の先輩でした。ステージに上がる直前の音楽家にかける「がんばって」の掛け声です。ステージには魔物がいるから魔物に負けないでね!という意味もあり、パワーを持つ木をたたきながら言うと完璧だとか。
これまで何度も言ってきましたし、言われてきた言葉のひとつです。
今日も大好きな楽友がFBでtoi toi toi と掛け声をくれました。
朝、東北新幹線で郡山へ。東京駅のホームは、紅葉狩りの?!団体さんたちでギッシリ埋め尽くされていました。晴天の郡山駅に着。東京よりは、ずいぶん肌寒い感じです。リハーサルをし、調律師さんに硬化剤気味のハンマーをソフトにしていただいたり、軽い昼食をとったりして本番を迎えました。演目はバッハ、モーツァルトとショパン。「雨だれ」を弾く日はなぜかいつも快晴です。ショパンは、サロンで弾くとき、もっともその息遣いが伝わるように思えます。ショパンが大舞台でなくサロンを好んだのは、彼の音楽そのものから来るのでしょう。様々な音色と細やかな変化を出せるように曲ができあがっています。
モーツァルトのピアノ曲は、サロンで生まれて居ながら、空間そのものを超えてしまっているようなところがあり、回転軸から、一瞬のゆるみで振り落とされ、少しの気になることがあるとすぐに音になって返ってくる怖さがあります。
昨年の卒業試験(自由課題)でモーツァルトの作品を美しく弾いた学生がいました。「副科で弾くような易しい曲を専門の卒業試験で弾くのはおかしい」とおっしゃる先生もいらしたのですが、決してそうは思いません。なぜなら決して易しくないからです。見事に近代ものを弾ききる腕前と集中力とパワーを持っている奏者が、モーツァルトでつまずく現場は何度も見てきました。
私自身、何かをつかみ、何かをこわし、何かに逃げられ、何かを追いかけ・・・の連続です。
終わりのない「演奏」の道。へこんだときに、友人のtoi toi toiの掛け声や支えて応援してくださる方の力のなんと大きいことでしょう。今日も、お忙しい中、また遠路いらしてくださったピアノの先生方やお弟子さん方に感謝です。ヤマハミュージックリテイリング郡山店の皆様にも大変お世話になりました。ありがとうございました。
今日の花束。秋に向日葵?と一瞬思ったのですが、ハロウィンの黄色だったのですね!
素敵な山日真理子店長と
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