菰野ピアノ歴史館

中部楽器技術専門学校創立者、岩田光義さんが館長を務めておられる菰野ピアノ歴史館。三重県湯の山温泉駅から徒歩5分。30台以上のピアノが展示された空間には、全国からオリジナル楽器体験を求めて多くの方が訪れています。卒業生の調律師さん達が、岩田さんご夫妻を慕って次々にいらしてピアノの調整をしてくださっていました。

前日入りしてピアノ選びとリハーサル。開館2周年記念コンサートということで、今回、私が演奏会で弾かせていただいたのは11台。
前半が主にドイツ系、後半がフランス系のピアノを選びました。

憧れのピアニスト、マルタ・アルゲリッチも録音に使ったというスタインウェイ(1944年製)でベートーヴェン・ソナタ《悲愴》。続いてスタインウェイのスクウェア・ピアノ(1867年製)でバッハのプレリュード。エラールのモダンチェンバロ(1917年製)で《ゴールドベルク変奏曲》のアリア、ブロードウッドのスクウェア・ピアノ(1820年製)でJ.C.バッハのソナタとモーツァルトのソナタK545の第2楽章。シュライプのリラピアノ(1816年製)で《トロイメライ》、ハイツマン(ウィーン式アクション1882年製)でR.シュトラウスの《クーペルヴィーザーワルツ》、J.B.シュトライヒャー(ウィーン式アクション1871年製)でシューベルト:《別れのワルツ》、《エリーゼのために》、ブラームスのワルツ

後半はイギリス式に移って、プレイエルのピアニーノでドビュッシー《月の光》、ショパンの前奏曲から《雨だれ》他。続いてプレイエルのグランドピアノ(1851年)で夜想曲op.9-1、op.15-2、別れのワルツ。エラール(1845年製)で夜想曲 遺作と《小犬のワルツ》。アンコールにシュトライヒャーでウィンナーワルツを1曲。

プレイエルは前日に菰野に来たばかりの楽器でしたので「弾き初め」、シュトライヒャーとエラールは翌日菰野を旅立つ楽器とのことで「弾きおさめ」となりました。

番外編として別室に移ってブロードウッド(1820年頃製)。

イギリス式とウィーン式、11人の楽器達の個性を感じながらの2時間でした。岩田さんはじめ、技術の方達のお力で蘇るピリオド楽器達。そして楽器を通じて人と人が出会い、集い、語らう。ミューズの神様、ピアノの守り神達と共に過ごした素敵な時間に、感謝の2日間でした。

若々しくエネルギッシュな岩田さんご夫妻と。

翌朝はケーブルカーで紅葉の中を空中散歩。

帰りの新幹線で富士山を拝み帰途に着きました。

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