第40回 ピティナ・ピアノコンペティション全国決勝大会

ヤマハホールで20日、21日の2日間にわたって開催されました第40回 ピティナ・ピアノコンペティション全国決勝大会F級を審査員として聴かせていただきました。
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予選を勝ち抜いた中学生、高校生の皆さんの熱い演奏が続きます。ヤマハホールの2階席までそのエネルギーが伝わってきました。バロック、クラシック、ロマン、近・現代 の4期から課題が出されており、その4期の様式をいかに弾き分け、それぞれの曲を自分のものにしているかを競います。
ピアノのコンクールにはいくつか種類があります。バッハ、ベートーヴェン、ショパン、チャイコフスキーなど作曲家の名前がコンクールの名前になり、その作曲家に特化しているもの。クララ・ハスキル、ルービンシュタイン、など偉業を成し遂げたピアニストの名前がついているもの。あるいは開催地の名前がついたものもあります。
以前、PTNAの福田専務理事さんからPTNAコンペティションの意義をお聞きしたことがあるのですが、「PTNAコンペティションは、ある作曲家だけがずば抜けてうまい という個性的な人材ではなく、総合力(偏差値)、基礎力を見るコンクールでありたい」とのことでした。
コンクールについては、賛否両論あるところだと思います。成長期の大切な時期に、課題曲だけを来る日も来る日も繰り返し、視野が狭くなって、広い勉強ができない、という声も聞きます。バッハの「平均律」48曲中、たった1曲だけを延々と3年間さらった、という例すらあるそうです。けれど響きの感覚、本番に向けての仕上げ方、集中力、度胸など、ステージでしか学べないことがあるのも事実です。
今回も、とても中高生とは思えない、大人顔負けの演奏をたくさん聴かせていただきました。高い技術を身につけ、この年にしてすでに自分の音色を持っている生徒さんもおられました。
そして、この年齢の審査のときには、そのときの出来や表面的な演出効果ではなく、内に秘めた音楽性、数年後に国際コンクールでも通用するような素質、大きく伸びる可能性、飛躍する芽を見逃さないように、と肝に銘じて審査させていただくようにしています。
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審査員の先生方で記念撮影。
(前列右から武田真理先生、岡本愛子先生、後列右から下田幸二先生、小原孝先生、赤松林太郎先生、斎藤雅広先生、玉置善己先生、田代慎之介先生)
中学、高校は受験で忙しくなり進路で悩む時期でもありますが、音楽の大きな才能は、将来に向けて高く羽ばたいてほしい、と願いながら銀座のヤマハホールをあとにしました。

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