フジコ・ヘミングwith N響メンバーによる室内オーケストラ@立川ステージガーデン

昨年5月8日に開催されるはずだった演奏会が延期となり、今年の1月9日に立川ステージガーデンで開催されました。前半が永峰高志先生のソロでヴィヴァルディ《四季》。後半がフジコ・ヘミングさんのソロでモーツァルト《ピアノ協奏曲第21番》、ショパン《ピアノ協奏曲第1番より第2楽章》、そしてシューマン《トロイメライ》、リスト《ラ・カンパネラ》というプログラム。

2020年4月にオープンした立川ステージガーデンは3018名収容の巨大ホールです。YAMAHAサウンドシステムにより、最新鋭のPAが使われました。そして今日は、常設のベーゼンドルファー・ピアノmodel 280VCのお披露目演奏会でもありました。

オープン直後、ステージで弾いた私の音が客席に柔らかく届き、関係者の皆さんが喜んでくださった日から2年弱。
パンデミックという想定外の事態で、コンサートのほとんどが中止となり、使われることが無かったベーゼンドルファー。
2019年に立飛の村山社長様と共にウィーンの工場に出向き、数台の中から楽器選定をした日のことが蘇り、懐かしさでいっぱいになりました。
コロナ完全収束の日に至るのはまだ先のことかもしれませんが、これから多くの人にピアノが愛され、音色が育っていってほしい!と切に願いました。

今日は、2階席前列中央で鑑賞。届くはずが無い奏者の息遣いの音、足が床にあたる音等が聴こえ、普段のクラシックの演奏会とは違う楽しみがありました。《四季》では、弦の音にかき消されてほとんど聞こえないはずのチェンバロの音が、鮮明に強烈に聴こえてきてジャックが元に戻る瞬間の音までがわかるほど。スポーツで言えばスタジアムで臨場感を味わいながら、テレビ中継も同時に見ているような感覚でした。

御年89歳になられたフジコさん。暗転の舞台の中を、エスコートの男性とともにピアノの前まで静々と歩かれ、コンチェルトの時には、左側に楽譜を持ったプロンプターの女性。「N響の皆さんが上手に弾いてくださっているのに、私は間違えてばかりでごめんなさい。今日は体調が悪く、左手が痺れていて・・・最後まで弾けるかわかりません。」とご挨拶。「今度私の絵が切手になります。賄賂とかは使ってないですよ。」のトークに満員の会場が和みました。
ファンのみなさんお待ちかねの《ラ・カンパネラ》を最後に演奏されて幕。

翌朝、フジコさんが「この数年弾いてきた中で1番素晴らしいピアノ!」とお気に召してくださっていたという話をお聞きし、ほっとしました。

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