親和学園創立130周年記念演奏会

神戸の親和学園創立130周年記念演奏会に出演させていただきました。
1924年(大正13年)、当時、日本に数台しか輸入されていなかったスタインウェイのピアノが、親和学園に寄贈され、このたびオーバーホールを終え蘇ったピアノの音色のお披露目コンサートとなりました。多くの優秀な卒業生を輩出してきた親和学園。その同窓会である「汲温会」の企画・主催です。
広い講堂に小さなA型(奥行き188センチ)のグランドピアノ。しかもヴィンテージ・ピアノです。コンサートでの演奏という面で、正直、わずかに不安があったのですが、当日のGPで、懸念を払しょくすることができました。
現代のピアノにはない独特の香りがあり、良い木材が長い年月でよく響く状態になって、小型とは思えない威力を発揮したのです。
もちろん性能という面ではアクションが不揃いの部分があったり、完璧に揃っているF1レースのマシンのような状態にある現代のフルコンサートグランドというわけにはいきません。圧倒的なパワーで金属を響かせ、轟かすことができる堅牢な現代の楽器に比べると隔世の感があるのですが、音楽を奏でる中で「楽器自身」が歌ってくれる独特の魅力は、なにものにも代えがたいものがあります。
20世紀初頭のピアノには、静謐さと、人を引きつける不思議な個性があるように思えます。「ピアノは木からできている」、そして「楽器は生きている」ということをあらためて感じさせてくれる瞬間でもありました。ハンブルクで生まれ、100年近く神戸で時を重ねてきた1台のピアノのロマンです。
バッハの「前奏曲」で始めたコンサート。アンコールのショパンの「夜想曲」まで、象牙の鍵盤を押すと、玉のような音色が楽器から空間に広がってくれました。
image
終演後、汲温会の大利慶子会長(向かって右)と舞台裏で。。。
image
親和女子大学の山本裕之学長先生は、テノールの声楽家でもいらっしゃり、今日のコンサートの最後は、学長先生の歌唱で締めくくられました。たまたま主人の市長選挙期間最終日と重なり、私の予定もぎっしり埋まってしまっておりましたため、演奏後、学長先生の美声や卒業生の皆様の演奏を拝聴できなかったのが、とても残念でしたが、親和学園の今後益々のご発展を祈りながら、長い階段を降り、六甲の見晴らしのよいキャンパスをあとにしました。

コメント