ホッホランド先生マスタークラス

浜離宮朝日ホールにて、スタンリー・ホッホランド先生のマスタークラスに参加しました。
使用楽器は、故小島芳子先生所蔵のCh.クラーク制作のワルターモデル、5オクターブでした。

・ベートーヴェンが calando e rit. と書いているということは、初期の音楽ではcalandは、ritの意味を含んでいないということ。

・staccato legato とか、何も書かれていない音符は、その音価の半分、もしくは、それより少し長い音価であるべきだ。

・ペダルに頼らず、チェンバロの伝統を生かしたオーバーレガートにした方が美しい場所も多い。

・古いピアノで弾くときは、楽器の限界までいける。モダンピアノの場合は、限界の音まで出してしまうと too much になってしまうので、加減しなければならない。モーツァルトは、楽器のリミットポシビリティまで使い切った作曲家なので、古いピアノで弾く喜びは大きい。

など、経験からの多くの示唆に富むレッスンでした。

長年モダンのピアノで弾いてきた曲などは、ロマン派的なアゴーギックなどが染みついている所があり、そういったものをそぎ落とし、清潔でシンプルなモーツァルト像に、あらためて向かい合う時間になりました。
スタインウェイのフルコンでは、まだまだ上があり、まだまだ下があるので、最高音、最低音、という意識は薄いのですが、ヴァルターで弾くと、鍵盤の最高音、最低音!をギリギリまで使います。

基本に戻る、原点に返る!
モーツァルト演奏における、意識改革の一日でした。

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