追悼・柳宗民先生

園芸の第一人者、柳宗民先生が、亡くなられたことを、新聞で知りました
柳宗民先生は、1927年、京都市のお生まれ。テレビ、ラジオなどでも幅広く活躍しておられました。
著書には、「園芸百花」「園芸は愉しい」など。
私は、2002年の9月、荻窪の「かん芸館」で、対談コンサートをさせていただいたことがありました。
柳先生は、このとき、対談を次のように締めくくられました。

「植物も人間もまったくかわりはないのですよ。植物も人間と同じ命ある生き物だという意識が大切です。植物は育てている人に命を預けているわけですから、それだけ責任を負っているわけです。上手に植物を育てたいのなら、植物の気持ちを汲んでやっていただきたいと思いますね。」

自然を愛し、自然の中で暮らしておられるせいか、お話も自然体で、「私は大家です。第一人者です。」という権威がみじんもなく、ふらっとホールに入ってこられ、まったく気取りのないお話ぶりに、お客様全員がリラックスして柳先生のファンになってしまいました。
植物の話が始まると、お話がとぎれることがなく、リハーサル兼打ち合わせでは、お話がはずみ続けてしまいました。かん芸館の館長さんは、「本番でも、お話がエンドレスに続いてしまったら、夜明かしコンサートになっちゃうわねぇ。」とおっしゃっていたのですが、さすがに、ラジオ番組などで活躍された先生は、コンサートとしても楽しいひとときにさせていただいたのでした。奥様と仲睦まじく、打ち上げの席では、ちょっとしたおかずを半分ずづ召し上がっていらしたシーンなどが思い出されます。

「今ね、雑草の本を書いてるので忙しいけど、私は、ずっと毎日土をいじっているから、遊びにいらっしゃい。」とおっしゃっていただき、いつかお伺いしようと思っていたのですが、それもかなうことなく、旅先で新聞の記事を見てショックでした。

柳先生の穏やかな笑顔を思い出しながら、ご冥福をお祈りしたいと思います。

0602-2

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