武部俊一さん・「里山・里海」を国際語に

日本IBMが出しておられる「無限大」は、毎号読み応えがある雑誌です。
夏号の特集は、「躍進する中国・インド経済」。

経済にはとんと疎い私ですが、記事の写真からも躍動するエネルギーが伝わってきます。
クラシック音楽の世界でも、中国、インドの演奏家がますます活躍する時代になっていくことでしょう。

華やかな記事とともに、じっくり読ませるエッセイが、科学ジャーナリスト、武部俊一さんの「日本流価値を世界に向けて」。

エッセイは、「はやぶさ」の帰還、そして、日本の「小さなもの」作りに目を向けた上で、「里山・里海」の素晴らしさにつながっていきます。
「世界には、テロワール(フランス)、チテメネ(ザンビアなど)、マウル(韓国)、ムヨン(フィリピン)など里山に似た概念がある」ことを、このエッセーで教えていただきました。

フランスの小さな町サンポンに行ったとき、演奏会のあと、エディットという可愛い少女が”わたしの里山”に案内してくれました。画家の両親に育てられた少女は、絵も上手でした。
美しい故郷の風景は、彼女にとり一生の宝となることでしょう。

長い時間をかけて、人と自然が対話しながらつくられてきた日本の里山。特別の観光地でもなければ有名スポットでもない、そんなのどかな里山は、本当にかげがえのないものです。
そして、その「海域版」が「里海」。
武部さんが書いておられるように、日本語としてまだ定着していませんが、その価値を世界に向けて発信していっていただきたいと思います。
海洋カメラマンの中村征夫さんの写真を思い起こしながら、日本の自然、そして、生物の多様性の大切さにあらためて思いを馳せることができました。
どのような影響が出るのかわからないままに、海外からたくさんの昆虫などが持ち込まれるのを、早く止めてほしいと願いながら。

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