夜、 朝日カルチャーセンター新宿 で行われた、指揮者の高関健さん&広上淳一さんの対談にお伺いさせていただきました。
4月に東京フィルハーモニー交響楽団が行う「ベートーヴェンの祭典」にちなんで「二人の指揮者、ベートーヴェンを語る」という朝日カルチャーと東フィルの共同企画です。
高関健さんが、歴史あるレニングラードフィルを最近指揮なさった折の映像、そして、お若いときにN響を振られたときの映像で始まり、ベートーヴェンの自筆譜研究に没頭されている高関さんのベートーヴェン論へ・・・。
奇数番にはない偶数番の明るさ、躁鬱の時期との関係、また交響曲の自筆譜を通してみえてくる作曲の過程とアーティキュレーションの解釈による響きの違いなど。
モンテヴェルディのころからの対抗配置が好きであることなど、興味深いお話が次々に繰り広げられました。
広上さんは、
「指揮者は常に攻めでなければいけない」
と、指揮者としての姿勢について述べられ、また若い人への厳しい指導ぶりが番組になった映像を公開してくださいましたが、ほとんどスパルタとも言っていいような指導法でした。
昔は、「指揮者はたたかれながら育った」、「師匠からも、オーケストラからも徹底的にたたかれ、それが当たり前だった」、とのこと。
東京文化会館での演奏会にこっそりもぐりこんだ折、
「またこの子ね。名前言いなさい」
と怒られ、
「芸大の大野です!」
と答えたなどという、ウソのようなエピソードには会場大爆笑!
でもそうまでしても何が何でも演奏会に行く、という情熱があったことの証明でもあります。
今の学生は「忙しいから・・・」と行かない子が多いね、と嘆き節も。
現代は、指揮者が各大学で教鞭をとる時代。
指揮科では、指揮者志望の学生を自分の大学で4年間教えたあと、よその大学の指揮者につけて、自分の足りない分野について習ってこさせる、というような度量の大きい教育がされているそうです。
質問コーナーでは、ファンの方たちが次々に手をあげます。
「コンチェルトのソリストはどうやってきまるんですか?」
という紳士の質問に対し
「それ知ってどうするの?」
と切り返す広上さん。
「ソリストとうまくいかない場合はどうするんですか?」
という質問に
「僕はあまりそういうことはないなぁ・・・。所詮コンチェルトはソリストの勝ちなんですよ」とおっしゃる高関さんに対し、
広上さんは、「喧嘩しないほうがみなが幸せになることがわかってきたので、喧嘩をしなくなった」
と、煙に巻いたり・・・。
若いときの映像を見ながら
「若かったなぁ・・・最近年とってくると、記憶は抜ける、毛も抜ける、抜けないのは疲れだけ」
なんてジョークを飛ばしながら、絶好調で、大いに盛り上がったお二人の対談でした。
コメント
そうなんです!お二人の個性が違えば違うほど対談っておもしろいですね。
面白いトーク