ウィーンな一日

昨日は、朝、モーツァルトの講座を終え、午後から「ハプスブルク展」へ。

ベラスケス、デューラー、ルーベンスなど名だたる画家が「お抱え画家」として勢ぞろい。
ルーベンスの「キリスト哀悼」は、決して大きな絵ではないのですが、そのリアルな肌の色や構図と絵の持つ力に圧倒されます。
エルグレコの「受胎告知」は、独特の色使いとリズムで見るものを惹きつけます。
ベラスケスの「マルガリータ」は、今にもお話ししそうな愛らしい姿で、ドレスの色合いと光は、うっとりする美しさです。

トルコ石で出来た時計、マリア・テレジアの実家で使っていたゴージャスなシャーベットの器などため息が出るほどです。

日本、オーストリア・ハンガリー修交140年記念。
ハプスブルク家ゆかりの品々が華麗に展示され、豊かな気持ちになりました。

国立新美術館から左に折れる道の途中に、デンメアティーハウスがあります。
そこでちょっと寄り道。ガラスの扉を開くとそこはもう、ウィーン!
ウィーンに行くと必ず紅茶屋さんに寄り、さまざまな紅茶をお土産に買うのですが、ここ六本木でも直輸入されたウィーンの紅茶が手に入ります。
イングリッシュローズや季節限定のオータムティを買い込み、気分はウィーン!

夜は、ペーター・レーゼルの「ベートーヴェンの真影」の第4回演奏会を紀尾井ホールで聞きました。
19番、4番、そして後半は、「葬送」と「月光」です。アンコールのバガテルまで、その見事な集中力と美音と考え抜かれた構築性には、脱帽です。

デームス先生のようなウィーン独特の香りや揺れではなく、確固たる安定性でもってがっしりとつかんでいく骨太な音楽でした。
月光の1楽章、3連符とメロディの付点、たいていの人が行うリズムより、付点を早くもってきて、厳格に4分の1のリズムで鳴らしていきます。

1945年終戦の年にドレスデンで生まれ、ロシアで学んだレーゼル。
ロシアンピアニズムの完全無欠のテクニックとドイツ魂がひとつになったいぶし銀のようなピアニストです。

会場は、落ち着いた気品と温かみのある紀尾井ホール。
久しぶりに、ご無沙汰していたいろいろな方にお会いして、嬉しい晩でした。

朝はモーツァルトを弾き、午後はハプスブルクの華麗なコレクションを見、
夕方はウィーンの紅茶を買って、夜はベートーヴェンを聞く。
誕生日は、ウィーンな一日となりました。

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