清水真澄先生「運慶」

ブりジストン美術館ホールで行われたルナの会例会に参加させていただきました。仏教美術史研究の大家、清水真澄先生の講演です。

スライドを追いながら、最新の研究の話題も含め、静かで穏やかなお声で、具体的なお話をわかりやすくしてくださいました。
運慶は、教科書などで名前は知っていましたが、この世界に疎い私は、最初から最後まで知らないことばかりでした。
地方の小さなお寺に、運慶作の貴重な仏像が所蔵されていたりすることも驚きでした。目に水晶が埋め込まれていたり、仏像の中が空洞になっていてそこに名札が入っていたり・・・。

若い頃の作品、円熟期の作品、晩年の作品、それぞれに異なる作風があり、特に円熟期の作品の漲るエネルギーとパワーには圧倒されました。
ベートーヴェンのソナタ32曲も研究者によって3つの時期に分けて論じられることが多いのですが、若い頃の技術習得の時期を経て、精神修練と経験を積み円熟期に入っていき、晩年独自の境地に達する・・・。
自らの世界を極めていく、という芸術の世界の共通項を感じました。

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