美の宮殿の子どもたち

「子供」という切り口で集められたルーヴル美術館の200点。
6年がかりで準備された展覧会だそうです。

美術館に行くのなら、今日のようなGW中の平日に限ります。
人の頭越しに話題の名作を見たり、止まらないでくださいという注意の中で急いで見たり・・・なんてこともなくゆったりと鑑賞できました。

紀元前2000年頃の中国、幼子を抱く女性の姿を描いたテラコッタ。
いにしえから変わらぬ人としてのいとなみ、そして母の偉大さも変わりません。

子供の姿がかわいらしいものとして描かれるようになる前は、小さい大人として描かれていて、大人顔をしているのに体が小さい生き物というか、無表情なものとして描かれています。

カタログでは大きく見えるものが、実際には小さなものだったり、あるいは、その逆だったり。
レコードと演奏会が違うように、やはり実物とカタログには大きな違いがあるように思えます。

見事な色彩と気品に満ちたティツィアーノの聖母子と3聖人が大きな存在感で会場の空気を満たしています。

そしてルーベンスが子供の横顔を書いた素描の素晴らしさ。
きっとルーヴルで多くの大作の中に埋もれてしまったら、足を止める人はないかもしれませんが、こうしてあらためて展示されると、凄さが伝わります。
髪の毛の曲線は、なんのためらいもなく流れ、瞳はまるで生きているかのよう、筆致の確かさと大胆さで見るものを惹きつけます。
大家が弾く珠玉の音階のように、たったそれだけで引きこまれるものを持っているのです。

音声ガイドプログラムは、藤村俊二さんがルーヴルの執事役として出演。
悲しみに満ちた少女のミイラと棺には、モーツァルトK488の第2楽章がバックに使われ、高貴なティツィアーノの宗教画には、アヴェ・ヴェルム・コルプスが使われていました。

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