「四谷ひろば」でブリュットナーを弾く

新宿区の中山弘子区長さんからお声をかけていただき、今日は、「四谷ひろば」のブリュットナーで1時間のショパンコンサート。
中山区長さんも一番前の席でお聴きくださり、お申し込みくださった区民の方としばし、1935年製のブリュットナーの響きに耳を傾けてくださいました。

一昨日、そして今日、パッサージュの尾崎さんが細かく調整してくださり、75歳のピアノもご機嫌な音を奏でてくれました。
75歳は、私の父が亡くなった年ですが、こうして尾崎さんのような調律の世界のテクニシャンのおかげで、楽器の生命が引き継がれていくことは素晴らしいことです。
また由緒ある楽器を大事に保存し、区民で楽しむことに心をくだいておられる新宿区のみなさまに感謝しているところです。

「アリコート」という4本目の弦によって、独特の音色になり、楽器自体は小さいのに、不思議な豊かさを醸し出してくれる楽器です。古き佳き時代にタイムスリップしていくかのような柔らかな音色です。
ショパンは、スタインウェイで弾けば怜悧な感性の鋭さが出てきますし、プレイエルで弾けば香りや微妙な息遣いが出てきます。
今日のブリュットナーで弾くと、また柔らかな色合いが出てきて、楽器によって同じ曲なのに、違う一面が出てくるのがおもしろいところです。

バッハもおそらく同じ曲をチェンバロ、オルガン、クラヴィコード、またごくまれにはフォルテピアノで弾いたことと思いますが、楽器によって違う美学が立ち上ったのでは・・・と想像します。

さまざまな楽器を弾くことによって音色の引き出しが豊かになると同時に、作曲家に対するイメージも多彩になっていく・・・そんな気がした今回の経験でした。
お世話になりました「四谷ひろば」のスタッフの皆様、ありがとうございました。

コメント

  1. nishisan より:

    そうですか、
    楽器の力はすごい。