ピアノの相性~ベーゼンドルファー~

諏訪響との合わせで、諏訪市駅前市民会館へ。
3月11日午後2時46分、ちょうどこのホールで翌日のリサイタルのリハーサル中に地震が起きたのでした。
あのとき、ステージから避難して以来の訪問です。
大揺れに揺れた駐車場を入ると、そのときの記憶が蘇りますが、元気な諏訪響の皆さんと再会し、三河正典先生のタクトがおろされたとたん、すべての記憶が飛び、音に集中していきました。

このホールは、ベーゼンドルファーのインペリアル。
柔らかな味わいが魅力の楽器で、心底愛するベーゼンドルファーなのですが、ロシアものには、なぜかしっくりこなくて苦労します。
スパッと切る切り口になにか柔らかいものがくっついてくるようなもどかしさを感じるのです。
シューベルトの美しい歌はもちろんのこと、ベートーヴェンの強固な意志にも、ブラームスのふつふつと湧いてくるような深い温かさにも、文句なしに共鳴してくれる楽器なのですが、ラフマニノフにはなぜかしっくりと来ません。
打楽器的な要求には向かない、ということなのかもしれません。
しかしこれがベーゼンドルファーの個性なのであり、オールマイティでないからこそ、楽器としての個性がある
のだと思います。
前回、ラフマニノフでご一緒させていただいたのは、たしか一昨年。
弾きながら、テンポ感など何か微妙に変わってきているようにも感じますが、来月の本番目指して、磨きをかけます。

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