ストラディヴァイウス&N響チャリティコンサート

講演のあと舞浜からスタジオに戻り、1時間練習した後、サントリーホールに出かけました。
日本音楽財団とNHK交響楽団の主催による東日本大震災復興支援のチャリティコンサート。

ヴェロニカ・エーベルレさんが1700年製のストラディヴァリウス「ドラゴネッティ」、
セルゲイ・ハチャトリアンさんが1702年製の「ロード・ニューランズ」、
そして藤森亮一さんが1730年製の「フォイアマン」を使ってソロを務められました。

バッハの2つのヴィオリンのための協奏曲 ニ短調BWV1043で始まります。
バッハがライプツィッヒの学生合奏団のために書いた曲ですが、リトルネッロが美しい曲で、楽器の音色の特色が直に伝わる選曲でした。
ハチャトリアンさんは、まだ若い青年ながら楽器との一体感が並はずれていて、ストラディヴァリウスを完全に自分のものにしておられます。楽器から最大限の美音を引き出しているように思われました。

続いてメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調をエーベルレさんが演奏。
バッハと続けての演奏にもかかわらず、いえ、それだからこそ、なのかもしれませんが、強い集中力と確固とした造形力で、説得力のある演奏を繰り広げました。

休憩後、同じくメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲 作品20から「スケルツォ」の管弦楽版が演奏され、
最後は、ブラームスのヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 作品102。
ヨアヒムとハウスマンを想定してブラームスが作った最後の管弦楽作品です。
美しいストラディヴァリウスの音色が最大限に生かされる曲かと思うのですが、今日はなぜか方向が皆違う方を向いているような感じで、何度も出てくる最後のメロディーももう少し色合いの変化がほしいなぁ。。。と感じました。
この曲、ブラームスがヨアヒムと仲直りするために書いた曲だそうです。仲介役がハウスマンだったというわけです。縦の線はあっているのに、なぜか色合いが一致していないようで、仲直りの曲としては、あと一歩?!。
ハチャトリアン氏の官能的ともいえるピアニッシモの音、ソロでも聞いてみたい、と思った一夜でした。

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