たか素子さん:たのしいコンサート

学生の頃、ドイツからクラウス・シルデ先生が来日され、レッスンをしていていただいたことがあります。規定の時間をはるかにオーバーしてしまうほど、さまざまなことを教えてくださったレッスンでした。
シルデ先生は、楽譜に直接書き込むことをなさらず、紙に注意事項を記してくださいます。そのときの分厚いノートは、今でも大切に楽譜棚にしまってあります。
そのとき、通訳をしてくださったのが、たか素子さんでした。素晴らしい通訳で、的確にスピーディな言葉づかいに感激し、お礼のお手紙を書いたことがあります。

その後、ずうっとご無沙汰していたのですが、ある日、え~!!!!と驚いたのです。
我が家のピアノを学生時代から調律してくださっているのが、高康雄さん。
調律やピアノの話や音楽会の話は、よくするのですが、お互いほとんど家族の話にならなかったので、存じ上げませんでした。高さんの奥様が楽理出身、しかもあのときの通訳の方だった!ということがわかったのです。

今日は、奥様のたか素子さんが久しぶりにコンサートをされるということで、お祝いに伺いました。
もちろんご主人の高さんが、ハンマーフリューゲル(1795年のヴァルターモデル:Michael Walker 作 2009年)を運搬、調整、調律をされます。
ピアニストと調律師さんのご夫婦、よくお会いします。コンサートはまさに夫唱婦随。ご主人の作られる音で奏でることができる奥様はなんと幸せなのでしょう。

曲はバッハの幻想曲とフーガ イ短調に始まり、イ短調のモーツァルトのソナタ KV310、
そしてハ長調に転じてきらきら星変奏曲、そして KV330、KV545のソナタ。
闇から光へ・・・というプログラムでした。
途中、御嬢さんのあすみさんのバレーと高さんのチェロがバッハのハ長調のプレリュードとともに披露されました。こんなに美しい御嬢さんがいらしたなんて、知らなかった!皆の視線が清らかでしなやかな白鳥のようなあすみさんの姿に集中。誰一人高さんのチェロを見ていない・・・というのが残念?!なのですが。

妹さんが譜めくり、息子さんが楽器レクチャーの際のデモンストレーション。
まあに音楽一家の「たのしいコンサート」。
スタッフとして調律仲間のさっちゃんの姿も。

音楽とともに生きる喜び、家族の中に、生活の中に常に音楽があるという高さん一家。
ふだん調律していただいているときには知らなかった魅力を見せていただいた晩でした。

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