フローベルガー生誕400年

1616年 ドイツのシュトゥットガルトに生まれたフローベルガー(Johann Jacob Froberger )が生誕400年を迎えました。
たしかな誕生日はわかっていないそうですが、受洗したのが今日5月19日ということで、「チェンバロという楽器の最も美しい響きを作り出した作曲家、フローベルガーの400回目の誕生日に寄せて」日本のチェンバロ界第一人者の渡邊順生先生が、近江楽堂でリサイタルをされました。
(使用楽器:マルティン・スコヴロネック製作(ブレーメン、1999年)によるジャーマン・モデル)
バッハに大きな影響を与えたフローベルガー。〈フーガの技法〉の源となる〈リチェルカーレ第3番〉などで知られる作曲家ですが、今日は、同年生まれの作曲家、ヴェッックマンとの対比というプログラム。両氏のトッカータ、組曲などを聴き比べることができる貴重な機会となりました。
1649年ドレスデンで競演をして以来フローベルガーとヴェックマンは、生涯の友となったそうです。モーツァルトはクレメンティと腕比べをしたあと「イタリアのいかさま師!」と罵って、ライバルがウィーンを去ったあと交流を結ぶことはありませんでしたが、この2人の作曲家は、互いの音楽を尊敬し友情を結びました。
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上は、プログラム表紙に掲載されていたフローベルガーの〈組曲 第20番 「瞑想」〉の自筆譜冒頭です。
「来たるべき我が死を想って作曲、ゆっくり自由に演奏すること」とあります。自由に(discretion)を本領としたフローベルガー。美しい音楽でした。
フローベルガーの〈組曲 第27番 ホ短調 「アルマンド」〉には、「ライン川上りの船中で重大な危険に遭遇して作曲、ゆっくり自由に演奏すること」と記され、26箇所、描写や説明が書き込まれているそうです。アンコールではその語り付きで披露してくださいました。「身を乗り出す」「足をばたつかせる」・・・様子が、音楽で表現されていて、会場大爆笑。音楽が情感や身振りを表現する大切なツールであることをあらためて感じました。
渡邊先生の企画でのフローベルガー生誕400年の4回シリーズは、残すところあと2回。次回は9月21日、大塚直哉先生が「神聖ローマ帝国オルガニストとしての矜持」~1649年の献呈譜~と題し、同ホールで演奏されます。

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