モーツァルト講座・KV332、333

朝日カルチャーセンター・新宿 で行ってきたモーツァルトのピアノ・ソナタ全曲講座。
3か月に1回のペースですので、いつ終わることやら・・・と思って始めましたが、いつの間にか、後半に入りました。

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今回は、ヘ長調KV332、変ロ長調KV333。
ウィーンで独立した音楽家として自信もつき、人気も出てきた頃の作品です。モーツァルトの音楽人生は、これからいよいよ花開いていきます。

1時間半で2曲というのは、あっという間に演奏するだけで終わってしまいますので、前もって、ポイントを絞るのが重要です。
しかも、音楽を専門としておられない愛好家の方と、楽譜にこまかく書き込みをなさるピアノの先生方が、同じ会場の中におられます。
「楽譜は読めません」
と、おっしゃる方の中には、驚くほど多くの演奏を聴いてこられ、音楽に対する鋭い耳と感性をお持ちの方がたくさんおられます。音楽の専門的な知識と音楽を愛する能力は別のところにある、ということを感じることもしばしばです。
なるべく専門用語を使わないで、深い内容に踏み込み、曲へのアプローチを深めていただけるように、お話と演奏を進める ― この回を重ねる中で、自分の中でペースができてきたように感じます。
「90分時計」が体内にできてきたようです。
若いころ、この体内時計がまだできてなくて、さあ、これから本題・・・というところで残り10分・・・なんてことがあり、痛い目にあった経験があります。

形式美、リズムの特徴、フレーズ構造のつかみ方、旋律のつくり方、ハーモニーの移り変わりの着眼点、カンタービレ奏法、アーティキュレーションと息遣い、装飾法、、、など、すべてをお話ししようとすれば、夜明かししても足りない名曲。
それぞれの楽章で一番言いたいことは何か ― 「ポイントを2つ絞って、他を捨てる」ことにしましたが、そのような削ぎ落としの作業の中で、かえって自分の頭の中が整理され、私にとっても有意義な試みとなっています。
いらしてくださっているみなさんと一緒に、モーツァルトに近づく営みが続きます。

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