日本チェンバロ協会「いろいろなチェンバロ」

日本チェンバロ協会主催の「いろいろなチェンバロ」が 松本記念音楽迎賓館 で行われました。
パイオニア株式会社の前身、福音商会電気製作所を創業された松本望氏夫妻の居宅であった建物です。ホールやレセプションルームのほか、茶室、鯉のいる池、松の木が美しい庭園などがあり、豊かな音楽空間を目指されたご夫妻の夢を実現した迎賓館です。

久保田彰さん、柴田雄康さん、横田誠三さん、足立正浩さんら日本を代表する製作家のチェンバロが一堂に会し、ほかにも Keith Hill のラウテンクラヴィーアやプレイエル社が制作したランドフスカ・モデルと呼ばれるモダン・チェンバロなど。

鍵盤付きダルシマーからモダンチェンバロに至るまでの歴史の流れ、チェンバロの発音機構、イタリアン、フレミッシュ、フレンチのそれぞれの特徴、2段鍵盤のアクション、などが、渡邊順生先生によって懇切丁寧にな解説されます。もちろん、各楽器の聞き比べがあり、このほか、各楽器を使ったのコンサート、そして空き時間には試弾までさせていただける、という至れりつくせりの催しでした。
イタリアン、フレミッシュ、フレンチには、それぞれに良さがあり、弾く曲によって使い分けることができたら、どんなにか素敵なことだろうと思われます。

ラウテンクラヴィーアは、バッハのお気に入りだったリュート・チェンバロです。この音を近くで聴くことができ、ガット弦の温かな響きを、タイムスリップするように、聴き入りました。

ランドフスカ・モデルのチェンバロは、フランスのプレイエル社が制作したもの。
外向きは、ピアノのようですが、中身はチェンバロです。そしてたくさんのペダル。持ち主の風間千寿子先生の御許可をいただき、バッハを弾かせていただきました。ランドフスカの音楽論は、私たちピアノ弾きにとってもバイブル的存在ですが、このような現代風チェンバロも弾かれておられたことを知り、とても身近な存在に思えた瞬間でした。
2009年、ランドフスカ没後50年に風間先生がお書きになられた「音楽現代」のエッセーによると、ランドフスカ女史は、死の前日「今度ゴールドベルク変奏曲をまた録音しようと思う」と内弟子のレストウさんに語ったそうです。あくまでもより高い音楽を最期まで追求されたランドフスカの生き様に、改めて感動しました。

チェンバロのレパートリーも少しずつ増やしながら、バロック以前の音楽に近づきたいという思いを強くした、GWの午後でした。

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