「風のホール」で公開リハーサル

東京アカデミーオーケストラの公開リハーサルが、三鷹の芸術文化センター 風のホール で行われました。
過日の合宿のとき、ピアノの位置を変えてみると、管楽器のメンバーの方とのコンタクトがとても取りやすくなったので、今回から位置を変えることにしました。振ったり弾いたり、というのはハードでもありますが、指揮の位置で弾くとオケとピアノの関係が改めてよくわかるような気がします。
また、今回はピアノの蓋を取りはずしてみました。客席へのピアノの響きが気になるところですが、風のホールのような響きの良いホールでは、むしろオーケストラとのバランスも良いように思えます。
楽器はニューヨークスタインウェイで、決して新しいとは言えないピアノですが、よく調整していただき、弾きやすい状態で臨めました。
フェルスターのカデンツァについて一言、ということで「マイク」を持ち、お話をさせていただきました。

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このモーツァルトのKV466のコンチェルトでは、ベートーヴェンが作曲したカデンツァが弾かれることがほとんどです。
今回は、モーツァルトより8歳年上で同時代人の作曲家フェルスターのカデンツァを使いました。
ベートーヴェンの音楽は、やはりモーツァルトとはかなり個性が違い、モーツァルトの演奏を実際に聴いたであろうフェルスターのカデンツァは、モーツァルトの個性と語法に則っている面が多いように思えます。

モーツァルトの使っていたヴァルターが博物館に展示されており、モーツァルト・モデルのヴァルターとしてレプリカも作られていますが、モーツァルトの死後、修復が行われ、ベートーヴェン時代に入ったのちのヴァルターのアクションがとりつけられています。
モーツァルトが使っていたヴァルターがどのようなアクションだったのか、本当に正確なところはわかっていない、と言われますが、現代の楽器との違いに比べれば、マイナーチェンジと言ってもいいでしょう。
そして、シュタインのピアノフォルテに比べ、豊かな音が出たヴァルターの楽器でさえまだ足りずに、足鍵盤なるものを付けて、バスを強化してK466の演奏に臨んだモーツァルト。

当時としては、かなりダイナミックな音楽を聴かせていたに違いありません。

東京アカデミーオーケストラの皆さんとの本番は、ひと月後。
オーケストラとしてのチームワークが大きな回転軸となり、エネルギーと知性のバランスをもって演奏に結びついておられる感じがします。
指導くださる志賀信雄先生の一言で、ガラッと音が変わったり、何かのきっかけで、ベクトルが大きく動いたりするのは素晴らしい瞬間です。

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