第2回いかるが音楽コンクール

第2回 いかるが音楽コンクール2014本選がいかるがホールで開催され、審査員として
昨日と今日の2日間にわたり、たくさんの熱演を聴かせていただきました。
2014-11-23-08-41-40
2014-11-23-09-07-05
高校生、大学生、そして一般の部。カテゴリーは分かれていますが、それぞれの参加者の方の音楽への思いの強さが伝わります。管楽器、弦楽器、声楽の部門が今年から加わり、審査員室も賑やかでした。
声楽の部では、モーツァルト、ハイドン、ヘンデルなどが並びますが、
ピアノの部では、ほとんどの参加者の方がショパン以降のロマン派か近代の曲が勝負曲です。音大卒業の3人は、3人ともが、リストを演奏されました。
「モーツァルトは、すっぴんで美人コンテストに出るようなもの。」と何かの講座で申し上げたことがありますが、たしかに、コンクールとあらば、お化粧をして出場できるような曲、そして現代のピアノの性能を全開にして全力投球できる曲に人気が集まるのは当然かもしれません。
1日目の高校生以上の演奏
2日目の小学生、中学生の演奏
通して聴いていて気づいたのは、演奏を始めるまでの時間です。
子供たちは、座ってひと呼吸してすぐに自然に弾き始めますが、高校生以上になるとかなりの時間をかけてから演奏をスタートするという点です。鍵盤を拭く、呼吸を整える、曲をイメージする、心で拍を数える、宙を見つめる、ドレスを直す、椅子の高さを変える・・・という具合に。
消しゴムが使えない「演奏」という分野は、たった1回に勝負をかける世界です。
2回目は、誰でも1回目よりうまく弾けるのですが、2回は演奏できません。それだけに、後悔のないよう、入念に気持ちを整えてから演奏に入る、ということでしょう。
けれど「パフォーマンス」は、ステージに一歩出てきたときに始まります。
軽やかな遊ぶような曲の場合、あまりに深刻に考え込んでから始めるのもどうか、、、、と思う瞬間もありました。そして緊張したり、考えすぎたり、ということが、普段しないミスにつながってしまうのは、誰もが経験の中で知っていることです。
自分を知り、自分をコントロールする、という面では、アスリートの世界にかなり近い分野だということをあらためて感じ、子供のような無欲の自然体でピアノに向かい続けることがいかに難しいか、ということも同時に感じた次第です。おそらく自分より音楽に集中しているときが、奏者にとって最高のコントロールができている状態なのかもしれません。
本選にまで進まれた今日の参加者の皆さんお一人お一人が、これからの長いピアノ人生の中で、きっと様々なステップを上昇していかれることだろうと確信します。音楽を続けていく課程と経験によって、心に多くの力と感動をもたらしてくれるよう願いながら、帰途に着きました。

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