アンサンブル神戸 第40回定期演奏会

神戸新聞 松方ホールにおきまして、アンサンブル神戸 第40回定期演奏会が開催され、ピアノ協奏曲K488を協演させていただきました。
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25日の合わせから本番までの3日間、演奏を見守って?!くれた松方ホール前のキリン像です。
協奏曲の前のセレナータ ノットゥルナK239 は、実にチャーミングな曲で、舞台袖で心浮き立つ演奏を聴かせていただきました。休憩後、後半は、生き生きとした魅力にあふれた交響曲第39番。この2曲は、K488の共演が決まったと同時に、指揮のレオン・シュピーラーさんからの提案で決まったそうですが、調性的な流れが自然で、バランスのとれた統一感のある、組み合わせでした。
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シュピーラーさんは、ベルリンフィルのコンサートマスターを30年以上務めてこられた大ベテランです。とても86歳とは思えないエネルギッシュなマエストロによって、緻密な音楽づくりが行われました。
シュピーラーさんのオーケストラへの指示は、技術的な細かなことにも及びます。ピッツィカートのとき、左手は抑え過ぎず、右手は人差し指でなくは中指で・・・。その結果、プツンとはじいただけの音ではなく、豊かにホールに届く音色のピッツィカートになるのには驚きました。それぞれのテーマの入りのとき、弦と管の音色をそろえることへのこだわりなど、長年のベルリンフィルでの経験と蓄積から生まれる音楽への愛情に満ちた言葉の数々でした。
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コンサートマスターは、イタリア人で神戸在住のマウロ・イウラートさん。マウロさんは、ウィーンのモーツァルテウム出身です。打ち上げのとき「K488のピアノの最初のフレーズを聴いてすぐに、自分と同じ”ウィーン流”だと感じた。少な目のペダル、明快なアーティキュレーション・・・。」と仰って下さいました。
アンサンブル神戸は、主宰の矢野正浩先生を慕い集まる音楽家たちによって大震災の年に結成され、今では年に数回の定期演奏会が行われています。普段異なる場所で活動していてもステージで一つの音楽を奏でる瞬間、ピタッと一つになれるアンサンブル神戸。決して馴れ合いにならない、それでいて互いの個性を尊重し、息を合わせていくことができる、そんなアンサンブルを感じました。結成20年、第40回定演という記念の演奏会でご一緒でき、光栄なひとときでした。

コメント

  1. yuko より:

    小田川先生
    興味深いコメント、ありがとうございました。
    リズムと息遣いが命ノウィーンナーワルツは、滑らかかつ明確でなければいけないのですね。
    ベートーヴェン時代のブロードウッドのフォルテピアノは、右と左を分けて踏めるよう、ペダルが二つに分かれています。
    この先割れペダル、先生のウィンナ・ワルツのピアノ演奏にぴったりではないでしょうか。
    便利な機能が、現代になってすたれてしまったのは残念です。

  2. 小田川隆朗  工学博士 より:

    イウラート先生のお言葉;”ウィーン流”=”少な目のペダル”に共感致しました。子供の時ピアノを一柳光(みつ)先生(日本最初?の女性コンサート・ピアニスト、ショパン弾き)から習った時、バッハ、モーツァルトでは(当時ぺダルがなかったので)ペダルを使ってはいけない!ときつく言われました。 その一方先生は右手の旋律は(一般に)ショパンの時のようにカンタービレで歌うように綺麗に弾けと言うのです。ペダルを使わないで旋律を滑らかに綺麗に弾くのが難しくとても苦労しました(ギーゼキングもペダルを非常に少なく使ったそうですね)。実はこの”奏法”を後でシュトラウス・ワルツの演奏に”応用”しました! 左手の伴奏は(ウィンナ・ワルツでは2拍目が約100msec長くなります)スタカートで明確に刻む必要があります。ペダルを使うと”音が濁って”しまい、ウィンナ・ワルツのように聴こえないのです。 右手の旋律は、長い音符の場合はヴァイオリンのように滑らかに綺麗に弾く必要があります。特に和音やオクターブ進行の場合ペダルを使わないで滑らかに綺麗に弾くのは非常に難しいです。 51年間シュトラウス・ワルツをピアノで演奏してますが、未だに毎日苦労しております! 高音(A6 440Hz 以上)のキーだけにペダルが使える特殊?なピアノを開発して欲しいです! www.StraussPianoEdition.com