モーツァルト効果

楽器店のスタッフさんから「喜多方のドン」と呼ばれるT先生は、熱心な研究と教育活動で、全国を飛び回っておられるピアノの先生です。昨日のセミナーの後、「これ知ってる?」とモーツァルトの顔が描かれたお酒をくださいました。

郡山からの帰路、新幹線の窓辺に置いて、緑の風景とモーツァルトの顔とともに2時間ほど過ごしました。ランゲの描いた晩年の肖像画ではなく、飲酒禁止の年齢である神童時代の可愛い顔でもなく、ちょうどお酒の味がわかる年齢のモーツァルトが選ばれているように思えます。

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以前、「アマデウ酒」にはお目にかかったことがあるのですが、「純米協奏曲くらしっく 蔵粋」は、初めてです。

「モーツァルトを聴いて育った音楽酒」、と袋に書かれており、喜多方市の小原酒造さん製造です。第27回特選街主催全国日本酒コンテストグランプリ受賞、とあります。

モーツァルトを聴いて・・・と言っても何の曲なのか、興味があるところです。と言いますのは、モーツァルトには透明感のあるかろやかで爽やかな曲ばかりではないからです。ドン・ジョバンニが地獄に落ちるシーン、復讐に燃えた夜の女王のアリア、孤独で胸が張り裂けそうな音楽・・・などなど「影」の部分が全面に出た曲を聴いても、果たしてお酒がまろやかになる効果はあるのでしょうか?!

1991年にフランスの耳鼻科医トマティス氏によって「モーツァルトには心と体を癒す偉大な力がある」と発表され、93年には心理学者ラウシャー氏が「ネイチャー」に「モーツァルトのK448 を聴かせた学生は空間認識テストにおいて良い成績をあげた」と発表。「The Mozart effect」と呼ばれ、その後も静かなブームが続いているようです。

実際に「モーツァルトに救われている」とおっしゃる知人も多くおられます。
果物が甘くなる、歯痛が治る、牛のお乳が良く出る、頭がよくなる、、、、といろいろ聞く「モーツァルト効果」ですが、ベートーヴェン、ハイドンと比べたり、演歌、ジャズとジャンルで競ったり、という実験も将来行われるかもしれません。

新幹線の中で突然思い出したのが、2006年モーツァルトイヤーに、我が家で作った「モーツァルトを聴かせた梅酒」です。最初の2年くらいクラヴィコードの近くに置いてモーツァルトのピアノ・ソナタなど静かに奏で熟成させていたのですが、いつしか自分でも忘れてしまい、戸棚に放置したままとなっている10年もの。怖くて飲めないし、もったいなくて捨てられないし、、、という状態が続いて5年近くがたちました。いずれにせよ賞味期限切れで「モーツァルト効果」はもう薄れてしまっているに違いありません。

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