記譜法の歴史

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日本チェンバロ協会特別例会として催された「記譜法の歴史」出版記念講演会にお伺いしました。
原題は
Notationskunde 17.18.Jahrhundert
著者のカーリン・パウルスマイヤー女史は、バーゼル、スコラカントルムで教鞭をとっておられた先生。理論書ではなく実際の17.18世紀の楽譜を丹念に読み解く中で、理論を抽出され、2012年に著書として発表されたものです。
翻訳された久保田慶一先生により約2時間にわたり、今回の日本語版の出版に至る経緯、拍子(プロポルツィオ)記号の歴史について、実際の楽譜をもとにご講演が行われました。
フレスコバルディ、バッハ、ムファットなど時代とともに変わる拍子とテンポの表示の仕方。
拍子が”等式”であった旧い考えから、”対比”と考える時代への推移。
メトロノームの存在しなかった頃の暗黙の了解事項、小節、拍子の概念。
等々、目から鱗のお話でした。
普段当たり前に読み、当然のこととしている約束事は、古典派以降に確立したこと。さらに長い楽譜の歴史を顧みると、音楽を共有しようとした人々の感情と音楽を楽譜に表そうとした基本の基が見えてくる感じです。
部屋の灯りから目を転じ、大空の星座を見たような気持ちになったひとときでした。

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